墨田区が認める人気スイーツの秘密(Vol.2)
東向島珈琲店のマスター、井奈波康貴さんにお話をお伺いしているプレミアムコラム、Vol.2はコーヒーと豊富なドリンクメニュー、そして東向島珈琲店の看板メニューにもなっているレアチーズケーキについて伺いました。
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- 師匠から学んだ、コーヒーとの向き合い方
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- 大井
- 東向島珈琲店に初めて訪れたときから、ここにはどこかホッとする優しい空気が流れているなと感じていました。そんな空気を作るための一要素となっているのがメニューだと思うのですが、まずはコーヒーについてからお伺いできますか。
- 井奈波さん
- コーヒー豆は僕の師匠にあたる高山珈琲のブレンドを採用していて2種類あります。どちらも酸味はなくて、苦味を強調したブレンドと、苦味を抑えたブレンドです。一言「コーヒー」というお客様も中にはいらっしゃるのですが、そういう時も味の違いをお伝えして、より納得してチョイスをしてもらうようにしていますね。
- 大井
- その違いを都度、伝えるのはなぜですか?
- 井奈波さん
- 師匠である高山に学んだことなのですが、そういった会話が飲む前の気分を高めてくれたり、「美味しい」に繋がると思っているからです。
- 大井
- ちゃんと情報を得て、選んだものを納得して飲むというのは大事なことですよね。他にはどんなメニューがありますか?
- 井奈波さん
- カフェオレや濃く抽出したドリップで作るカプチーノ、アイリッシュコーヒーや紅茶、チャイもあります。
- 大井
- 以前いただいたことのあるカフェオレにはホイップがのっていて、癒される味わいでした。さらに有機クラシックジンジャーのソーダ、有機ザクロ&アサイーソーダ、有機ビート&マカソーダなど、豊富な種類がありますね。これらのレシピはどのように決められているのでしょうか?
- 井奈波さん
- アサイーように流行っている素材を選ぶこともありますし、最近は台湾に行く機会もあったので、そこで得た知識をメニューにアウトプットすることもあります。それから自分の年齢と共に……なのかもしれないですが、身体に優しくて健康につながる薬膳みたいなメニューも取り入れるようにしています。
- 看板メニュー“レア”チーズケーキへのこだわり
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- 大井
- 東向島珈琲店といえば、CafeSnapにもたくさんの写真が投稿されていますが、レアチーズケーキが人気メニューですよね。以前に墨田区で賞を獲られたと聞きましたが……。
- 井奈波さん
- そうですね。2012年に「すみだモダン」といって、墨田区を代表するスイーツとして認証されました。審査会を経て認証されたので、それを機に、今ではスカイツリーのソラマチ内にある「すみだまち処」でもケーキセットとして召し上がっていただけます。ちなみに、いくつかあるケーキセットがある中でも一番人気をいただいているそうです。
- 大井
- 墨田区の名産が集まる「すみだまち処」で一番人気というのは素晴らしいですね。喫茶店といえば、コーヒーとチーズケーキの組み合わせをよく見かけるのですが、東向島珈琲店ではしっかりしたチーズケーキではなく、レアチーズケーキというところがポイントですよね。
- 井奈波さん
- 以前に働いていたところでスイーツ作りを学んだんで、自分の店で出すなら「レアチーズケーキだな」とずっと思っていました。ふわっとしたレアチーズなので飽きずに食べられるということと、上にかかるソースを時期によって変えることで「また食べたいな」と思ってもらえるようなものが作りたかったんです。
お店を始めて半年くらいした頃に作って出したところ、「レアチーズケーキが美味しい」と来てくれる人が増えたので、僕にとって思い入れのあるメニューですね。
- 大井
- レシピを作る段階で、井奈波さんが苦労したことはありますか?
- 井奈波さん
- レアチーズがふわふわになるよう作るのですが、季節や気温によって材料の分量を微妙に変えないといけないので、その点は苦労しました。例えばゼラチンの量が変わればそれだけで固まらないこともありますし、逆に固くなりすぎてしまうこともあります。
- 大井
- 四季によってそんなに変わっていくんですね。スイーツは特に材料の量を厳密に測ることが重要だといいますよね。
- 井奈波さん
- スイーツはコーヒーと違って当店の完全にオリジナル。教科書がない状態で作っているので、トライ&エラーをしながら1gずつ調節するのがすごく大変でしたね。
- 生産者の想いやストーリー、安全性を重視
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- 大井
- チーズケーキの上にかかるソースも、四季によって変えられていると思いますが、どのように選ばれているのでしょうか?
- 井奈波さん
- 自分との繋がりや出会いを大事に選んでいますね。お店で買うことは簡単にできるのですが、いまは人との出会いから食材に巡り合う機会も増えてきました。繋がりがあると、フルーツを作った人の想いを大事に調理ができますし、自分とその人の関係や、もし僕がそこに行ったことがあるならばその時の体験もお客様に伝えることができます。伝えられる言葉が増えることで、お客様により一層、美味しさが届けられるんじゃないかなと思っています。さらに食材のルーツが分かるほうが、安全性が一層担保できますよね。
- 大井
- 確かに、そうですね。先日はピンク色のキウイのソースも出されていましたよね。
- 井奈波さん
- はい。その時期しか獲れない愛媛県大三島のもので、果肉と白い芯の間が少しピンク色になっている珍しいキウイでした。キウイのソースは好評であっという間になくなってしまいました。
- 大井
- その時だけの旬を味わえるというのは、すごくいいですよね。
- 井奈波さん
- 全ての材料に対してそうできるわけではないですが、そういったことを大事にしながらメニューを考えていますし、お客様には、身体に優しい旬の味や信頼性のある食材を使った料理を好んでいただけていることが嬉しいですね。
- この続きは、Vol.3のホテルマンを経て知った、サービスの本質で!次回の公開は12月6日(火)です!どうぞお楽しみに!
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