新たな10年のために守ること、壊すこと(Vol.4)
2016年、11月にオープンから10年を迎えた東向島珈琲店。マスターの井奈波さんにこの10年で大切にしてきたこと、そしてこれからの10年に向けて考えていることを伺いました。
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- 10年はひとつの通過点、整理整頓して次の10年へ
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- 大井
- 今年の11月で10周年、おめでとうございます! 10年経ってまずは今、どのように感じていらっしゃいますか?
- 井奈波さん
- 個人経営のカフェで10年間続いたのは大きなことなので、普段、振り返ることはあまりしないですが、少し自分で自分を褒めてあげたいなと思います。
32歳で独立して、もうすぐ42歳。当時はすごく背伸びをして作ったお店だと思っていましたが10年経った今では不満足なところもあります。だから、現状に納得してはいけないし、10年はあくまで通過点だと思っています。
- 大井
- また新たな10年にむけて、どんなことをしていきたいという目標はありますか?
- 井奈波さん
- より好奇心を持ちながら、今以上のことができる環境づくりをしていきたいと思っています。そして52歳になったときに、またちょっと不満足だなと思えるようでありたいですね。
今以上のことができる環境づくりという点では、10年を迎えたこのタイミングで、あえて一度立ち止まって、自分の中でひとつ区切りをつけようと思っています。10年を経た今というのは、例えるなら“テトリス”のような感じです(笑)
ずっと積み上げてきたものはあるんですけど、所々に隙間がある。それって不満足じゃないですか。なので、「一度ぶっ壊す」じゃないんですけど、スッキリと整理整頓をしたいなと。そうすることで「また積み上げたい」という気持ちになると思いますし、さらにお客様に喜んでいただける場所が作れると思っています。
- 大井
- 壊す、整理整頓というのは具体的にはどんなことをされるのでしょうか?
- 井奈波さん
- ひとつは、来年の2月にお店を改装しようと考えています。10年も続けると、どうしてもお店は痛んできます。知人で、大きな仕事を数多くしている建築家にお願いできることになったので、1階のスペースを中心に改装して、よりお客様が過ごしやすく、スタッフも働きやすい環境を作っていきたいですね。丁度、いま模型でイメージしている段階なのですが、結構変わりますよ。
それから、もうひとつはこれまでお客様の要望を多くいただきながらずっと断り続けていたレアチーズケーキのテイクアウト。お持ち帰りスペースを店に併設する予定です。
- 大井
- そうなんですね。それは嬉しいですね!
- 東向島珈琲店が10年続いた理由
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- 大井
- 一般的に、10年間お店を続けることはすごく大変なことだと思うんですが、なぜ東向島珈琲店は10年間続いたと思いますか?
- 井奈波さん
- まず僕が健康でいられたこと。そして、仕事に対してずっと家族の同意を得られていたことはすごく大きかったように思います。上手くいかない時は大抵、自分以外の外的要因が多い気がしていて。健康は自分のことですが、「もっとがんばって」と言ってくれる家族や両親がいて、その人達に応援してもらえたから続けられたと思います。
- 大井
- 身近な人に応援してもらえていることは、自分らしく働けることにも繋がっていくと思います。他にお店の中において、心がけていたことはありますか?
- 井奈波さん
- 営業時間やメニューに関して、自分でした約束を自分で守ったことでしょうか。朝は8時にオープンして夜は8時半に閉める。それをほぼほぼ守れたこと。それから、「品切れです」と言うことができるだけないように、メニューを用意できていること。それは自分でコミットしようと努力してきたことで、そういった自分の中での約束を守れたことが長続きしている秘訣だと思います。
- 大井
- なるほど。お客さんも期待をして、お店に来ますもんね。
- 井奈波さん
- 「メニューがあると思って来たのになかった……」だとしたら悲しいじゃないですか。すごく当たり前のことだと思うんですけど、できてない店はできてない。大事なことだと思いますね。
- 2020年に向けての新たな挑戦
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- 大井
- もう少し長期的な視点だと、2020年に向けてはいかがでしょうか?このエリアはスカイツリーも近いですよね。
- 井奈波さん
- もっともっと海外の方にアプローチしていこうかなと思っています。待っていても来てくれないので、当店に来てくださったお客様の住む国、地域にまずは僕が行って、当店のことを知ってもらえるような活動をしたいです。
今年の夏は、お客様として来てくださった方とのご縁で、台湾のポップアップショップに出店し、レアチーズケーキを販売しました。例えば“旅するレアチーズ”みたいなコンセプトで、色々な国や地域に出向いて行って、現地の方と仲良くなって、次は当店に来ていただける、そんな風になれたらいいなと思っています。
- 大井
- 国はどのように選ばれるのですか?
- 井奈波さん
- マーケットうんぬんというのも大事ですけれど、ご縁があるところが一番気持ちよく行けるかなと。近いうちにインドネシアや香港に視察に伺わせて頂く予定です。
- 大井
- まずは自分から動くこと。
- 井奈波さん
- そうですね。行ってみて、体験してみないと、どういうところかわかならないですからね。まずは出向いて、その国や人を知ることから始めてみたいです。
- この続きは、Vol.5の「井奈波さんが考える“コミュニティカフェ”とは」で!次回の公開は12月13日(火)です!どうぞお楽しみに!
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