プレミアムコラム

有名老舗喫茶からchai breakが引き継いだもの(Vol.2)

吉祥寺、chai breakのオーナー、水野学さんにお話をお伺いしているCafeSnapコラム。Vol.2は水野さんが「まるでドラマのような出会いだった」と語るお店にまつわるストーリー。

現在、chai breakがある場所は「伝説の喫茶店」と呼ばれた“あの店”の跡地だったのです。

苦難を乗り越えて出会ったのは、老舗喫茶店“もか”の跡地
大井
chai breakがオープンしたのは、2009年ですよね。この場所はどのように選ばれたのでしょうか?
水野さん
この物件との出会いはまるでドラマのようでした。実はこの場所を契約する前に、一件、保証金まで払っていたところがあったんですが、色々とあって、そこがなしになってしまい、しばらく路頭に迷っていた時期がありました。

もともと経営していた紅茶販売は続けていたんですけど、僕と家内と新店のために採用したパティシエの3人で物件を探し回るという日々が続きました。1カ月ぐらい経ったある日も物件探しをしていて、夕方になったのでパティシエは帰る時間になり、僕も用事があったので、家内がひとりでもう一件だけ行ってみようと向かった先で出会ったのがここでした。実はこの場所は、前に自家焙煎珈琲店の“もか”というお店があった場所なんです。
大井
ここが、“もか”だったんですか!!
水野さん
コーヒーがお好きな方たちは、おそらく耳にしたことがあるお店ですよね。“もか”はこの場所でコーヒーを40年やってらしたんです。僕が“もか”を知った時にはすでに店主の標 交紀(しめぎ ゆきとし)さんは亡くなられていて、お店を閉められていたんですが、出窓にコーヒーグッズが展示されていて、 “もか”が入っている状態が続いていました。

有名なお店でしたから、実際に物件を探し始める前から「こんなところでできたらいいね」と話していたんですが、動くことはないのかなと思っていました。なので、外出先で家内のメールを見たときは驚きと喜びがこみ上げてきましたね。

話を聞くと、“もか”はここで長年お店をやってこられてコーヒーのイメージがとても強いし、標さんの奥様もこの場所にとても思い入れがあったので、「次に入るところはコーヒーを扱わないお店にしてほしい」と不動産屋さんに要望があったそうで。「紅茶だったら」とお話を頂いたんです。
大井
素晴らしいタイミングでしたね。
水野さん
そうなんです(笑)。さらにその後、不動産の契約するにあたって契約書を見てみると、この建物が建てられたのは1968年10月。僕の生まれた年の月だったんです。
大井
すごいですね!
水野さん
すごいですよね。だから運命的なものを感じましたし、前の物件がなしになったのは、ここに出会うためだったのかなと思いました。
“もか”の雰囲気を引き継ぐ空間づくり
大井
言われてみると、喫茶店の雰囲気がありますが、内装は“もか”の時のままなのでしょうか?
水野さん
店をオープンするにあたって、僕も初めてのことだったので、色々な方にアドバイスを頂きました。“もか”のイメージが強すぎるから壁を塗ってガラッと変えた方がいいんじゃないかとも言われたんですけど、僕はどうもそういう気になれなくて。できるだけ“もか”の面影を残したい、あるものを活かして自分のお店にしていきたいと思いました。

“もか”の片づけが完全に終わる前に標さんの奥様とここでお会いする機会を頂いたんですね。その時、色々処分されるおつもりだと聞いて、僕は歴史のある場所ですし、残せるものは残しておきたいと相談したんです。

それで入口のガラス戸にあった“もか”のマークも残させてもらいました。さすがに入口に違う店名が書いてあるのはおかしいので、今は店内に飾らせてもらっています。標さんがオランダで買ってきたという壁に飾られているタイルや、飾り棚や梁、柱、床もそうですね。
水野さん
それから内装のデザイン会社にも、「新しいお店だけど、昔からここにあったような雰囲気で作ってほしい」とお願いし、イメージを膨らませて作ってもらいました。他の椅子や机はできるだけ“もか”のイメージを残せるように心がけながら僕達で手配しました。

やはりあれだけのお店ですから「30年ぶりに来た」というお客様が今でもいます。オープン当時はそういう方が毎日のようにいらっしゃって、中に入ってカウンターで紅茶を飲んで頂くと、帰り際に「いいお店に入ってもらってよかった」と言ってくださる方がいらっしゃって。それは本当に嬉しかった。最初の頃は、売り上げがたたないことが続きましたけど、そういう言葉を心の糧にやってこられた、というのはありましたね。
大井
想いがこの場所で引き継がれているんですね。
この続きはVol.3の「ティマスターに聞く、紅茶の基礎知識」で!次回の公開は1月24日(火)です!どうぞお楽しみに!
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chai break (吉祥寺・東京都)
営業時間:9:00〜19:00(土日祝8:00~19:00)
住所:東京都武蔵野市御殿山1-3-2

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