コーヒーを売る経営者として(Vol.4)
SOL'S COFFEE荒井利枝子氏との対談Vol.4。今回は、22歳で起業した荒井さんがどのように経営を学んできたのかを伺いました。時々お店に現れる、有名経営者がアドバイスしてくれたこととは?
-
- 大井
- 経営はどのように学ばれてきたんですか?
- 荒井氏
- 就職もしたことがない全くの素人で始めたので、最初はたくさん経営本を読んだり、値段設定の仕方もわからずかなり苦戦しましたが、ありがたいことにお店をやっていると、たまに、すごい経営者の人がフラッと来てくれることがあったりするんです(笑)
「君は自営業が好きかい?」と聞かれて「はい、楽しいです!」というと「経営の秘訣を教えてあげるね」と、ふら~っと来て告げて、ふら~っと去って行くんですよ。
- 大井
- へー!
- 荒井氏
- で、私、すごいばか素直なので、その場ですぐにやってみるんです。それが良いって言ってもらえたり。特に、今まで言われた中で、自分の中に留めている言葉があって。これも、ある有名な経営者の方が、たまたまお店に来てくれたときに言われたんですけど……。
- 大井
- なんですか?
- 荒井氏
- 「本物の人の話を聞きさない」って。コンサルや、誰かの受け売りで書かれた本でなく、「実際に自分で成功している人の話を聞きなさい」と。
あと「先輩たちの話はお金を払ってでも聞きなさい」とも言われました。だから、飲み会とか、自分がお酒を飲みたいなと思った人たちの話はせっせと、自分にお金の余裕がなかったとしても聞きに行きました。
あと「楽しくなかったり、上手くいってないときとかは、どこかが間違っているから、なにか方法を変えなさい」って。そう教えてもらって、それを割と忠実に守っています。(笑)
- 荒井氏
- あとは……よく小学校の卒業の時に「10年後の自分」みたいなのを書くじゃないですか。あれが好きで、今でも3ヶ月に1回くらいやっています。
- 大井
- えぇ!すごいっ!
- 荒井氏
- 今は「10年後の自分がいかにクリアに見えるかで、それが達成できるかが決まるんじゃないかな」って思っていて。その逆算で、今日一日やることとか、半年後やることを決めると、不安がちょっとずつ解消されていくんですよ。
10年後どんな家に住んでいて、どういうイスに座っていて、誰と一緒にいて、何を食べているかとか。そういうのを考えると、それを叶えるためには、収入はこれくらいで、これくらいの休みが必要で……ってことは、5年後はこうして、3年後はこうしてて、1年後、半年後……ってやるのが楽しいんですよ
- 大井
- へ〜! それとても勉強になります。でも、それを始めたきっかけは?
- 荒井氏
- 私は22歳で会社を始めたので、自分を守ってくれる会社に就職もしたことなくて、怒ってくれる先輩も上司もいないので、何が正しいのか分からなくて。でも決断するのは全部自分たち。失敗しても、誰にも迷惑はかからないですけど、失敗すると次に仕事が来ないとか、不安で不安で。
でも絶対に10年続けよう!と最初に決めたので、前を向いて不安を解消するための方法の一つで始めました。
自分で会社をやっていると、基本的に指摘を受ける機会がほぼ無いんですよね。だから、今でも、誰かに怒られると、逆にありがたくて嬉しくてしょうがないです(笑)
- 大井
- (笑)
- 荒井氏
- 人に怒るってすごく労力を使うじゃないですか? 良かれと思って言っても、相手には好意的に取られないことがあったり「あんまり余計なこと言わないでおこう」っていう人が多いと思うんですけど、蔵前には、愛を持ってお説教してくれる人が多いんですよ!(笑)
- 大井
- へー
- 荒井氏
- 誤解されてお説教されたときも、悔しくて悔しくて泣きながら「そうじゃないんです!私がやりたいことは、こうなんですっ!」って箇条書きにして伝えたりとかして……。それからはより可愛がってもらえた気が……。
- 荒井氏
- 私はコーヒー屋になりたくて、なりたくて、はじめたわけではありません。でも素晴らしい縁があり、このコーヒーを広めて、売って、それで生きていこう!と決めました。それがみなさんと大きく違うんではないかなと思います。
自営業をはじめた時「何のために働くのか」についてよく考えたんです。そしたら、私は「自分の家族や親戚、友人、私の周りの人たちに贈り物をしたい」って思って。そのためにはお金を稼がなくてはいけない。じゃあ、そのお金を生み出す仕組みは何なのかって考えていったら、人に喜ばれて、その“感謝のお礼”がお金になるんじゃないか、と思ったんです。
だから、“人に感謝されることを仕事にするべきだ”と考えました。自分によくしてくれる人に「贈り物をしたい」っていうのが、お金を稼ぐ、私の根本の理由なんですよね。そのために「仕事をしよう、コーヒーを売ろう」って。
コーヒーを買っていただく為にはもっと勉強して、知識や技術を持たなければならない。そして、SOL’Sを届けたいお客様を想像し、その相手の人たちに喜ばれる商品、サービスを作り続ける。そういうことの積み重ねで今までやってきたんです。
私がよく言ってることなんですが、スタッフたちが胸張ってプロポーズできる会社になっていなければいけないというのがすごくあって。「今は夢を追っている途中だからいいけど、この会社にいる間は、結婚はできない」っていうのはすごく悲しい。
スタッフに対しての福利厚生や、スタッフがお客さまによいサービスを提供できる環境をつくる、というのが私の起業時からの目標です。
- 続きはVol.5「SOL'S COFFEEが描く未来」で!SOL'Sの今後の目標や、荒井さんにとってのカフェとは?などを伺っています。次回更新は、10月16日(金)です。お楽しみに!
注目トピックス
新着の投稿
新着まとめ
地域を選択する