ネルドリップにこだわる理由(Vol.1)
プレミアム対談、第三回目のゲストは恵比寿にあるCoffee TRAMの古屋達也さんです。
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古屋達也氏
Coffee TRAM店主。世界的にも注目を集める大坊珈琲店で働き、その閉店後、自家焙煎の珈琲店、Coffee TRAMをオープン。心地よいジャズが流れる店内でネルドリップのコーヒーを抽出するその姿は大坊氏を彷彿とさせる。名店の味を引き継ぎながら、独自の世界を追求する若きコーヒーマスターだ。
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- ビルの解体にともない閉店することとなった、日本を代表する名店、大坊珈琲店で働き、のち2014年4月に自家焙煎の喫茶店、Coffee TRAMを開店。昨今のコーヒーを取り巻く世の中の流れとは少し違ったペースと角度からコーヒーに向き合う古屋さんに、お店のこと、コーヒーのこと、ご自身のことを伺いました。
- 大井
- 早速ですが……Coffee TRAMはどのようなお店ですか?
- 古屋氏
- どんなお店かな……。希望みたいなことでもいいんですかね……? ご覧になったかわらかないですけど、最近、伝表を作ったんですよ、純喫茶のような感じの。この裏に書いたことが面白いかなと思っていて……。
ぼんやり考えていた時に、この店は動脈と静脈でいったら、静脈のようなお店だろうと思っていたんです。前に進ませる活力やエネルギーのある場所というより、なにか溜め込んでしまった“よどみ”のようなものを置いていける場所だろう、と。
ただ、そういえば血液循環ってどうなっているんだろと調べてみると、静脈血として戻っていったものが一度、肺に送られて二酸化炭素を放出し、酸素を吸収してまた心臓から全身に送り出されて行くという行程があるということを改め知って。
喫茶店やバーなど自分が利用している場所の共通点は、“何かを置いていく”って言い方も変ですけど……。なんて言えばいいのかな……。なにか“よどみ”を、和らげるみたいな……。それが利用するお店の共通点なので、自分がやっているところもそうできたらいいなと。
- 大井
- Coffee Tramの一番の魅力はなんですか?
- 古屋氏
- ここの魅力ですか……。それはコーヒーと言っておかなきゃまずいような……。
というか、まぁ、コーヒーしかありませんからね。空間は、もちろん僕も大好きですけど、僕が作ったものではないですし、雰囲気はまた別かもしれないですけど。そう考えると、コーヒーしかないですよね。
- 大井
- ネルドリップの深煎りコーヒーを提供されていますが、それはなぜですか?
- 古屋氏
- 単純に、自分の好みのコーヒーなんですよね。もちろん、こういう味の、こういうコーヒーの作り方があるんだっていうのを知ってもらえたら面白いんじゃないかというのもあるし。こういう自分の好きなコーヒーを……
- 大井
- 届けたい……?
- 古屋氏
- 届けたいっていうわけではないんですよね。誰が納得しなくても、自分がよいと思うものを作っていられたらいいなと。もちろん、できれば好きになってほしいと思いますし、これを飲んでコーヒーの楽しみ方が変わったとか、自分の好みが変わったとか思ってもらえたら、それは嬉しいです。
- 大井
- ネルドリップを選ばれているのは?
- 古屋氏
- 淹れ応えがある。
普通は味などで、こういう選び方をしないのかもしれないですけど、僕は淹れ応えが選んだ理由に近いと思います。
ここは、特にゆっくり淹れるじゃないですか。その“ゆっくり淹れられる”というのが、いいと思うんです。いろいろなコーヒーの淹れ方があって、正解不正解は人それぞれでよくて。
- 大井
- ゆっくり淹れるのがいい……というのは、どうしてですか?
- 古屋氏
- ゆっくりじゃないと、うまくテンポがあわないんですよね。コーヒーと自分の。もともと、豆はしゃべらないし、動かないものですし。当たり前のことですけど(笑)
- 大井
- (笑)
- 古屋氏
- そういう豆に対して、生きているものが働きかけるスピードが、ちょっと早すぎるんじゃないかと思っていて。これは本当に、個人的なコーヒーとの付き合い方の問題なんです。僕はこのペースで自分のコーヒーと付き合うのが一番いい。そういう付き合い方なんです。
- 大井
- 古屋さんがコーヒーに興味をもたれたきっかけは?
- この続きは、CafeSnap内のプレミアムコラム記事「Vol.2 大坊珈琲店で学んだこと」にて公開しています。ぜひCafeSnapにてチェックしてみてくださいね!
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