大坊珈琲店で学んだこと(Vol.2)
Coffee TRAMの古屋達也さんとの対談Vol.2。今回は、古屋さんが大坊珈琲店で学んだことを伺いました。本格的にコーヒーに興味を持つことになったのは、大坊珈琲店で見て、感じた“あること”がきっかけだったそう。
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- 大井
- 古屋さんがコーヒーに興味をもたれたきっかけは?
- 古屋氏
- コーヒーに興味をもったきっかけか……。
- 大井
- もともとお好きだったんですか?
- 古屋氏
- 学生時代にアルバイトをしていたんですよ、喫茶店で。そのときから結構飲んでいました。興味って、どっからが興味かわらないですけど、その頃は自宅では淹れてはいなくて、別に凝っている友人がいて、その人が淹れていました。で、それとはまた別の友人が、自宅で焙煎をしていたんですよ、手網で。
- 大井
- そうなんですね。
- 古屋氏
- コーヒーは自分で煎ったほうが安いんですよ。僕も当時は貧乏でしたから自分で煎ろうと思って焙煎を始めたんです。その頃は、もう自分でも家で淹れていて。でもネルドリップじゃなかったですけどね。
ただ焙煎がうまくいかなくて、コーヒー専門店をいろいろまわり始めたんです。その中で出会ったのが大坊珈琲店。飲んだときに、このコーヒーが自分にぴったりだなと感じました。大坊珈琲店に飲みに行くようになった頃、自分でもネルドリップを始めたような気がします。
実は僕は、大坊珈琲店にお客さんとして行ったことは数少ないんですよ。何回か行って、すぐアルバイトの募集がかかったんです。
- 大井
- 偶然、そのタイミングで?
- 古屋氏
- 偶然……。応募して、面接を受けて、でも落ちてしまって。
- 大井
- そうなんですか!?
- 古屋氏
- ええ。で、「また募集するときは連絡していいか」とおっしゃっていただいて、「はい、お願いします」と。しばらくして連絡をいただき、働き始めたんです。
- 古屋氏
- コーヒーに興味をもったのは、働きだしてからなのかな……。技術や知識はもちろん大切ですが、それだけにとらわれるのではなく、いい意味で力を抜いて、きちんとコーヒーと向き合い、淹れるときの気持ちを大切にする。そういう大坊さんの“コーヒーとの付き合い方”や“コーヒーに対する姿勢”みたいなものを大坊珈琲店で見て。
“大坊珈琲店の姿勢”が気になったんですよね。
お店のコーヒーの味が好きになって入って、大坊珈琲店の姿勢が好きになった。そこが興味を持ったタイミングかもしれないですね。
- 大井
- 働かれていたのは、約2年間ですよね。働かれているときに学んだことで、今につながっていることはどんなことがありますか?
- 古屋氏
- コーヒー専門店で働いたのは大坊珈琲店だけなので、やり方はほぼ全てですね。特に、大坊珈琲店ではコーヒーをゆっくり淹れるために、他の時間をどれだけ短くするのか、ということを考えたオペレーションを組んでいて、それは今も活かされていると思います。
他にも、色々とありますが……、今、自分が思うのは“コーヒーとの関わり方”ですね。
コーヒーとの関係性についてずっと考えているのは、大坊さんとコーヒーとの関わり方をずっと見ていたからだと思います。これは学んだことに入るのか分かりませんけど……。
働いていたときはそんな風に思っていなくて。もちろん感じる部分はあったんですけど。大坊さんが淹れているときが、コーヒーと一番いい関係ができているなって、そう思っていました。
- 大井
- どうしてそう思われたんですか?
- 古屋氏
- コーヒーを淹れる時は、それぞれの雰囲気があるんですよね。それぞれの雰囲気の中で、大坊さんがコーヒーと一番密接というか親密だと感じたんです。
- 大井
- 大坊さんのところで働かれていたときというのは、偉大な巨匠が目の前にいるわけじゃないですか。大坊さんが細かく指示をだすのか、古屋さんが質問して少しずつ習得されていったんですか?
- 古屋氏
- 実は、大坊さんがコーヒーの世界で、ものすごい人だって知ったのは、働きだした後だったんです。
- 大井
- そうなんですね……!
- 古屋氏
- それまでなんにも知りませんでしたから……。いや……無知って怖いですね……。
- 大井
- (笑)
- 古屋氏
- のちのちになってだんだん分かってくるんですよ。本を読んでいても分かりますし、関わる人に聞いても分かってきて……。僕は結構、怖いもの知らずでした。
ただ雰囲気的に、大坊さんは口で説明するより、「見て学びなさい」という方だと勝手に思っていたんで、どうやっているんだろうと、気になったところを覗き見ているって感じでした。
- 大井
- 古屋さんは質問されたりしたんですか?
- 古屋氏
- 時々しました。沈黙に飲み込まれていってしまう時もあれば、それから30分後にふっと答えが返ってくることもありました。
- この続きはVol.3の「期待とプレッシャーの向き合い方」で!コーヒー愛好家から時に寄せられる、期待とプレッシャーをどのように捉えているのかを伺いました。次回更新は、10月27日(火)です。お楽しみに!
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