自分好みのコーヒーを作るために大切なこと(Vol.4)
Coffee TRAMの古屋達也さんとの対談Vol.4。「自分好みのコーヒーは誰にでも作れる」と語る古屋さん。古屋さんが考える、そのために必要なこととは?そして、昨今のサードウェーブコーヒーの流行についても伺いました。
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- 大井
- 私達はコーヒー専門店のオーナーさんと話をする機会も多いのですが、「古屋さんのコーヒーが美味しい」と伺うことが多いんです。美味しいと言われる理由はなんだと思いますか?
- 古屋氏
- 嬉しいですね。自分で作って、自分でだしているわけですから。これが一番美味しいと自分でも思っているわけですけど。
- 大井
- なぜ美味しいんでしょう?なにか込めているものはありますか?
- 古屋氏
- いや、ありません。さっきも言ったように、根本的には自分ですから。美味しいと思われたくてやっているわけではないんです。
さっきもコーヒーとの関わり方の話をしましたが、僕は美味しいと思われるコーヒーをつくることが一番ではないんです。“自分が一番いい関係で、コーヒーと付き合える”ということに重点を置いていると思います。
もちろん、できればいい味だと思われたいし、そう思われたら嬉しいし、思われなかったら悲しいので色々と苦労しているんですけど。でも、そうさせる理由の核心に迫っていくと、“自分がコーヒーとどうつきあうか、コーヒーが自分とどうつきあってくれるのか”、そっちのほうに重点をおいているんです。
- 大井
- 付き合い方っていうのは興味深いですね。動かないし、しゃべらない、コーヒーと付き合う……。
- 古屋氏
- これ、一番大事なことなんじゃないかと、最近思うんです。
コーヒーの作り方ってものすごい量の本がでているじゃないですか。どれも正しいことを言っているんですよ。ものすごく真逆のことを言っていたとしても、それはひとつの真実で、コーヒーはすべて内包してくれる飲み物なんです。僕はそう思っているんです。だからその莫大な情報の中から、自分の好みの味を選び出して忠実に再現すれば、誰でも自分好みのコーヒーがつくれると思うんです。
追求というか……やり続けなければ、でき続けないですけど。いままでの偉大な先人達が人生をかけて研究してきた膨大なデータで、もちろん開示されていない部分もあるんですけど、かなり説明されているんです。
それらを参考に自分でやっていくうちに、こうやったほうがいいんじゃないか、っていうのが分かってくる。だからやろうと思えば、誰にでも自分好みのコーヒーは作れるじゃないかな。
- 大井
- 昨今、サードウェーブが流行して、コーヒーに改めて注目が集まっていることはどう思いますか?
- 古屋氏
- いいことなんじゃないでしょうか。サードウェーブと呼ばれるスペシャルティコーヒーに関する事柄は、私のような個人のコーヒー店ではできない貢献を産地の方にされていますね。これまで報われなかった努力を、報われる形に変えていっている、その点はものすごくいいと考えています。
私もなにかしら、できたらいいですけどね。サードウェーブと呼ばれる巨大な流れができることと比べたら、できることは小さい。
一杯のコーヒーから生産者まで想像できる人はそんなにいるわけじゃないですよね。でもサードウェーブはその“きっかけ”になる。どんな国の人が、どれくらいの人数関わって、どれくらい働いて一杯のコーヒーがつくられているのか。それがいつかコーヒーの価値を上げることにつながって、取引額もあがって、生産者の方々の生活が向上する。それはよいことなんじゃないでしょうか。
- この続きはVol.5「Coffee TRAMの一年半」で!嬉しかったこと、そして辛かったこと、そして古屋さんらしい気持ちが落ち込んだときの切り替え方をお伺いしています。次回更新は、11月2日(月)です。お楽しみに!
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