Coffee TRAMの1年半(Vol.5)
Coffee TRAMの古屋達也さんとの対談、最終回のVol.5は、オープンして約1年半のCoffee TRAMについて伺いました。嬉しかったこと、そして辛かったこと、そして古屋さんらしい、気持ちが落ち込んだときの切り替え方とは……?
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- 大井
- オープンして約一年半ですよね。これまでに嬉しかったことと、辛かったことを教えてください。
- 古屋氏
- 嬉しかったことはいっぱいありますし、辛かったこともいっぱいあります。ぱっと思いついたものでいいですか、これだけに絞ると悪いんですけど……。
ある日、タクシーの運転手がきたんですよ。50代ぐらいの方かな。きっと、ふらっと入ってきたんだと思うんですけど。最初、テーブルに座ってブレンドコーヒーを注文されたんです。
それで、コーヒーを作り始めたら、席を移動して、カウンター席に座ったんです。「珍しいやり方してるから、ここで見ていていい?」と。
その後、ちょっとお店が混んたので、話もせず、その方は一杯飲んで、さっと帰られたんですが、別の従業員がお会計をした時に、その方は1000円を出して「お釣りはいらないよ。1000円分のコーヒーを飲ませてもらったから」とおっしゃったって。それはよく覚えていますね。嬉しかったので。ふらっと入ってきたのに、1000円の価値があると思ってくれたんだって。
- 大井
- 値段以上の気持ちが伝わったんですね。
- 古屋氏
- だといいんですけどね。
- 大井
- 逆に辛かったことは?
- 古屋氏
- 辛かったことはなんだろうな……。いっぱいありますよ。言えないことが多いですけど。まぁ、焙煎がうまくいかないっていうのが落ち込みますね。これはいつも付きまとうことですね。逆にうまくいくと、「うぉしゃー!」って思うんですけど。うまくいかないと気分が落ち込みますね。
- 大井
- うまくいかないときって言うのは具体的にいうとどういう状態になるんですか?
- 古屋氏
- 苦味がですぎるか、酸味がですぎるかですね。
- 大井
- 天気や湿度など様々なことを考慮して焙煎はするといいますが、そういうことを考えながら焙煎してもうまくいかないことがあるんですか?
- 古屋氏
- ええ。だから基本的には自分を責めます。たとえ、どんな環境でも、バランスをとるポイントがあると思うんです。湿度が高ければ、高いなりの焙煎の仕方があって。それはきっとどの環境でもあるんです。だからうまくいかないときは自分を責めて、改善につなげます。
- 大井
- 気持ちがへこんだときは、どうやって回復するんですか?
- 古屋氏
- だいたい回復しません。(笑) へこみっぱなしです。もう、スタート地点が暗いので、元気がなくてもいつもと同じにしか見えないっていうか。
- 大井
- (笑) 根は暗いんですか?
- 古屋氏
- 根は暗いんじゃないですかね、明るい人間ではないです。(笑)
- 大井
- うまくいかなくて気分が落ちた時でも、お店は毎日あけないといけないし……今日も明日もやってくるじゃないですか。
- 古屋氏
- まぁ、でも、しょうがないですよね。時々、くだらないことを考えて。自分でおかしくなることありませんか?ほんとにどうでもいいことだけど。お客さんのTシャツに書かれていたことが面白かったとか。それぐらいで大丈夫です。そういうことのほうが大事だと思うんです。
- 大井
- それを見つけられることが大事ですよね、「あのTシャツおもしろいぞ」って。それに気づけないとずっとそのままですもんね。
- 古屋氏
- 暗いのは暗いままですよ。そこは、もう性格だからしょうがないですけど。
- 大井
- 受け入れているんですね(笑)
- 最後に、あなたにとっての、カフェや喫茶店とは?を教えてください。
- 古屋氏
- やってる側と行く側だと大分違うんですよね。
やってる側としては、一極集中でこれしかやってないって感じだし。カフェや喫茶店は好きなので、行くときは、あまり色々と気にしないですね。そうですね……。
“そこにあったら嬉しいもの”、みたいなものでどうでしょうか。
- 大井
- その意味とは?
- 古屋氏
- なきゃないでいいけど、あったら嬉しくないですか。そういう感じです。
- 大井
- はい、わかりました。貴重なお話、ありがとうございました。
- 古屋氏
- ありがとうございました。
- ブレンドコーヒー 600円
次回、11月10日(火)からの更新は、この夏15周年を迎えた、三軒茶屋にある「CafeCafe」の堀利弘さん&美佳さんご夫婦の対談をお届けします。お楽しみに!
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