ドイツを体験!鳩時計カフェの魅力(Vol.1)
CafeSnap発案者の大井がお話をお伺いしているプレミアムコラム。第12回目は喫茶店や古本、カレーなど日本の素晴らしい文化が根付く街、神保町で鳩時計カフェを経営しているシュヴァルツヴァルトカフェの芹澤 庸介さんです。ドイツの鳩時計に魅せられ、輸入販売や修理をしていたところから、鳩時計カフェをオープンするに至ったわけ、その魅力を教えていただきました。
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芹澤 庸介 さん
神保町「シュヴァルツヴァルトカフェ」オーナー。2005年、ドイツの鳩時計輸入販売サイト「森の時計」をスタート。日本で数少ない鳩時計の修理技術を独学で習得する。2014年には鳩時計の魅力をより多くの人に伝えるため、壁一面に鳩時計が飾られているシュヴァルツヴァルトカフェをオープン。
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- 大井
- 本日はどうぞよろしくお願いいたします。まず、シュヴァルツヴァルトカフェについて教えていただけますか?
- 芹澤さん
- 鳩時計が30台くらい展示されているちょっと変わったインテリアのカフェですね。ここに置いてある鳩時計は、葉っぱや鳥など木を彫ってデザインを施した“彫刻モデル”と、ストーリーがあってオルゴールにあわせて人形が動く“山小屋モデル”の2種類。山小屋モデルはアルプスの少女ハイジがテーマのものもあるんですよ。
- 大井
- 可愛いですね。CafeSnapでは個性の光るカフェをご紹介していますが、中でもシュヴァルツヴァルトカフェは個性が際立っていますよね。芹澤さんはどのような想いで鳩時計カフェを作られたのですか?
- 芹澤さん
- 私は鳩時計の販売と修理の仕事を14年ほど前から行っているのですが、これまで鳩時計をお探しのお客様との出会いは大変恵まれてきました。ただ、私自身もかつてヨーロッパで“たまたま鳩時計と出会った”ように、「鳩時計を見たことがない」というお客様との出会いの場を作りたいと思っていたんです。
カフェだったら気楽に入れるし、たまたま立寄った方が、壁中の鳩時計を見て驚かれるんじゃないかなと思って。(笑)シュヴァルツヴァルトカフェは、鳩時計とお客様の出会いの場として計画を進めました。
その計画はずっと頭の片隅にはあったのですが、仕事が忙しくなるにつれて実現できていない期間が長く続きました。ただ、今から3年前の正月に突然、夢に出てきたんです。どこかの誰かが東京に鳩時計カフェをオープンしたという内容で、冷や汗かいて飛び起きました。
それはもちろん夢だったのですが「ずっと考えていたのに、誰かに先を越されてしまった!」とひどく落ち込んだ自分がいて、現実では絶対に同じ想いをしたくないと、次の日から物件探しに出かけました。この店をオープンしたのはそれからたった3か月後のことです。
- 大井
- ものすごいスピードですね。店名の「シュヴァルツヴァルト」というのはどういう意味ですか?
- 芹澤さん
- ドイツ南西部にある地名で、「黒い森」という意味ですね。鳩時計の工房はそのエリアに集中していて、車で1時間くらいのところに7~8軒ほど集まっています。ここは「黒い森」というくらいだから森があるんですね。
古くからいくつかの産業があって、ひとつはドイツの家を建てるための材木業。ただ標高が800~1000メートルと高いので、冬は雪が降ってしまって材木を切ることができないため、その時期はみんな家に籠って木工細工などをして、暖かくなったら行商の人がそれを販売するという別の産業も一緒にあったんです。そんな中、精密機械の発展と共に鳩時計がうまれたんですよ。これは1800年代の話です。
- 大井
- そうなんですね。この店内でもたくさんの木が使われていたり、テーブルも歯車型になっていてシュヴァルツヴァルトの世界観が表現されていますよね。提供されているコーヒーやお料理についても教えていただけますか?
- 芹澤さん
- 豆はドイツのシュヴァルツヴァルトで焙煎したジャーマンローストのコーヒーを使っています。昔、私が現地を訪れたときにドイツ各国で飲んだコーヒーがすごく美味しかったんですよね。カフェをオープンするにあたって「黒い森」に何かスペシャルなものがあるんじゃないかと探し回ったら一軒、自分が好んで飲んでいたコーヒーに近い味を出すロースタリーカフェがあったんです。
話をしてみたら「日本で鳩時計を売っているのか!お前、面白いことやってるな!」と意気投合して。(笑)「東京のど真ん中で、シュヴァルツヴァルトで焙煎したコーヒーを出したいんだ。」と話をしたら、「いつでも焙煎したてのものを空輸で送ってやる」って言ってくれて豆を取り扱えることになりました。
- 大井
- どんなお味なんですか?
- 芹澤さん
- 中煎りぐらいのすごく飲みやすいコーヒーですね。常連のお客様はエスプレッソでリピートしてくださる方も多いです。フレーバーとしては少しナッツを感じるような味わいがあると思います。他のお店との特徴や味わいをちゃんとかぎ分けてくださった、こだわりのあるお客様だと思うんですけど「東京で一番好きなエスプレッソ」とfacebookに投稿してくださった方がいて、すごく嬉しかったです。
みなさんご存じの通り、神保町界隈は昔ながらの喫茶店が多いので、基本はドリップコーヒーの街だと思うんです。そんな中でエスプレッソドリンクを出すお店が受け入れられるのかは分からなかったですが、常連のお客様のようにコーヒー好きの方が神保町や錦町界隈にはたくさんいらっしゃるんだなと思うと、古きよきものを愛する神保町に鳩時計のカフェを開いて本当によかったなと思いました。
- 芹澤さん
- フードについては、オリジナルメニューも揃えています。例えば、ドイツで修業された職人さんに特別に作ってもらっているソーセージや、ドイツの菓子マイスターを持っているパティシエに作ってもらっているケーゼクーヘン(ドイツ風チーズケーキ)。その他、プレッツェルやドイツビールも用意しています。
先日、ドイツに行ったときはシュヴァルツヴァルトのショコラティエの方との出会いがあって。これなんですけどね。アールグレイやキャラメル、食用のお花を使っていてデザインも美しいので、今後はチョコレートも販売していけたらと密かに思っています。
- 芹澤さん
- 14席ほどの小さなカフェですけど、本格的なドイツメニューを提供していますし、いつか規模が大きくなった時に、ただオシャレなだけ、ただ鳩時計がユニークなカフェというのではなくて、シュバルツヴァルトカフェらしい魅力やコンテンツが詰まっている場所にしておきたいのです。
- この続きは、芹澤さんが鳩時計に出会ったきっかけや、鳩時計に込めている想いを伺ったVol.2で! 5月3日(火)公開予定です。どうぞお楽しみに!
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