<特別編>2016年バリスタチャンピオンシップの舞台裏(Vol.6)
Vol.6としてお届けするのは特別編!2016年ジャパンバリスタチャンピオンシップの決勝大会に出場されたUNLIMITED COFFEE BARの山下淳美さんに大会のお話、そしてこれからの目標を伺いました。
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山下 淳美さん
UNLIMITED COFFEE BARバリスタ。バールで出会ったデザインカプチーノの美しさと美味しさ、バリスタの所作に感銘を受けバリスタの道を歩み始める。イタリアンバールのチェーン「セガフレード・ザネッティ」を経て、2012年UNLIMITED COFFEE BARに入社。2016年ジャパンバリスタチャンピオンシップでは5位入賞。
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- 大井
- 9月のバリスタチャンピオンシップ、お疲れ様でした。私も会場で山下さんが競技されるところを見ていました。まずは大会の感想を教えていただけますか?
- 山下さん
- 大会にチャレンジしたのは4回目だったのですが、5年目の今年、初めて準決勝・決勝の舞台に出させてもらいました。あの素晴らしい場でUNLIMITED COFFEE BARのコーヒーの話をできたのがすごく嬉しかったです。
私はUNLIMITEDがすごく好きで、コーヒーがすごく美味しいと思っているので、それをたくさんの人に伝えられた喜びが一番大きかったですね。
- 個人のためでなく、チームの代表として戦う
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- 大井
- 大会ではエスプレッソ、カプチーノ、そして三番目にシグニチャビバレッジ(創作ドリンク)を作られていましたね。どのようなドリンクだったか教えていただけますか?
- 山下さん
- ショートカクテルのようなグラスでご提供したんですが、中に入っているのは、エスプレッ ソ、エチオピアのゲデブという豆を漬け込んだシロップ、ペクチンというジャムなどに使われている“とろみ成分”、それからその場でアールグレイの茶葉をエスプレッソに漬けこんで作ったビターズです。それらを氷に入れて適切にステアをすることで、エスプレッソと副食材が一体化しフレーバーがさらに広がるように仕上げました。
※ステア:カクテルを作る時の技法。液体と氷を入れて混ぜること。
- 大井
- レシピは山下さんがご自身で考えられたのでしょうか?
- 山下さん
- 原案はオーナーが考え、レシピの微調整をみんなで行いました。
- 大井
- どんなことを考えながら作られたのでしょうか?
- 山下さん
- 自由に材料を使って作れる創作ドリンクですが、色々なものを入れすぎてコ-ヒーの味が負けてしまったらシグニチャービバレッジとして成り立たないので、いかにエスプレッソをサポートしつつ一体感ある材料で作るかをみんなで考えて作りました。
- 大井
- 戦っているのはご自身だけじゃなくて、チームなんですね。山下さんはチームを背負って出場されていた、そんなイメージでしょうか。
- 山下さん
- ほんとその通りでした。私はたまたま代表になっただけで、みんながいるからこそあの場に立てて、素晴らしいプレゼンテーションができました。プレゼンテーションの中でもお話ししたんですが、バリスタだけでも、ロースターだけでも、農園の人だけでもだめで、すべての人が頑張って繋がっているからこそ、あのシグニチャービバレッジはできたんです。本当にたくさんの方に助けてもらったなと思っています。
- 大井
- 他の出場者が希少な豆や高級な豆を使う中で、山下さんはお店でもだされているエチオピア ゲデブを使われましたね。それはなぜですか?
- 山下さん
- “大会用のドリンク”としてしまうのではなくて、普段来るお客さんにも味わっていただきたいと私達は考えているので、一般の方にも飲んでいただけるものを作りました。そうすることで「スペシャルティコ-ヒーは難しいものではなく、美味しくて意外と身近なものなんだよ」と知ってもらいたかったんです。
- 大井
- 大会に出られるまでにどのような準備をされましたか?
- 山下さん
- エスプレッソマシンは、ちょっとしたことでだいぶ味が変わってしまうので、基礎技術を磨くことが一番多かったと思いますね。
- 大井
- 基礎技術というのはどんなことですか?
- 山下さん
- グラインダーという豆を挽く専用の機械でコーヒーの粒度を調整するのですが、粒度によって味が大きく変わってしまうので、粗さによって味が大きく変わってしまうので、いかにコーヒーにあった粗さにできるか。それから粉をバスケットにつめる動作も少し違うだけで味が全く変わってしまうので、いかに一貫性があるようにできるか。そういう意外と誰でもできることだけど、おざなりになりがちな動きを大会に向けて練習しました。
- 大井
- なるほど。基礎的な動きがとても大事なんですね。
- バリスタチャンピオンシップの舞台裏
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- 大井
- 会場で見ていて、出場者が競技されているステージはものすごく張り詰めた空気でしたが、舞台裏はどんな感じなのでしょうか?
- 山下さん
- 意外と和気あいあいとしています。もちろん集中している方もいましたが、お互い知っている人が多いので、知り合い同士で話していたり、他のバリスタさんが「忘れ物があったら言ってね」と気遣ってくれたり。入る前までは緊張していたんですが、みなさんフレンドリーで、温かいなと思いました。
- 大井
- そうなんですね!ライバルであり仲間……それは素敵ですね。大会を経て、今後どのようなバリスタになりたいと思われていますか?
- 山下さん
- 日本ではバリスタの職業性はまだあまり高くないと感じています。今後、バリスタが目指したい職業になったり、価値のある職業だということを知ってもらいたいので、そのモデルとまでは言え ないですけど、そのための努力をしていきたいと思っています。そしてUNLIMITEDのバリスタとし て、UNLIMITEDやスペシャルティコーヒーの良さを伝えていけるバリスタになりたいです。
- 大井
- 山下さんはすでに素晴らしいお手本のバリスタだと思います!貴重なお話をありがとうございました。
- 山下さん
- ありがとうございました。
- 次回、11月29日(火)からのプレミアムコラムは、東向島珈琲店のマスター、井奈波 康貴さんの登場です。どうぞお楽しみに!
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