なぜ最近コーヒーフェスティバルが多いのか?〜2000年以降のコーヒー文化の流れから紐解く〜(Vol.1)
CafeSnapプレミアムコラム、第14回目は神保町Coffee Collectionに連動して5月28日(土)に開かれたトークイベント「なぜ最近コーヒーフェスティバルが多いのか? 〜2000年以降のコーヒー文化の流れから紐解く〜」の内容をお届けします。
昨今のフェスティバルにつながるコーヒーの盛り上がりは、これまでコーヒーに携わる多くの人々が築き上げてきた文化、流れ、歴史があっての事と捉えています。
今回はCafeSnapブレンドを焙煎いただいているグラウベルコーヒーの狩野さんと、コーヒーに関する書籍の編集・ライターをされている藤原さんをゲストにお迎えし、CafeSnapの大井がモデレーターとなって、過去から現在にかけてコーヒーを取り巻く環境についてお話をお伺いしました!
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(左)藤原ゆきえさん、(中央)狩野知代さん、(右)大井彩子
狩野知代さん(中央):焙煎士。2002年に屋台カフェ、トゥールビョンをオープン。2005年にグラウベルとして独立し焙煎士としての道を極める。現在は都内の人気カフェのコーヒーを担当。インターネットで豆販売も行っている。7月には藤原さんとともにグラウベルコーヒーをオープン予定。
藤原ゆきえさん(左):ライター・編集者。狩野さんと出会い、コーヒーの美味しさと彼女の情熱に感動。狩野さんと「休みの日にはコーヒーを淹れよう」を出版する。その後、数多くのコーヒー関連書籍に携わっている。
大井彩子(右):個性の光るカフェが探せる写真共有型カフェアプリ「CafeSnap」発案者、プロデューサー。神保町のCoffee Collectionではプロデュースに参加するとともに、人気3大ロースターの限定豆セット、“Roasters Selection”の舞台裏を独占取材。
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- 大井
- 今日はよろしくお願いいたします。4月は神保町で“Coffee Collection”、先週は青山で“Tokyo Coffee Festival”、そして今日5月28日は金沢で“しんたてコーヒー大作戦”とコーヒーのフェスティバルが続々と開催されていますね。
今日は、昨年から急増しているコーヒーフェスティバルや最近のコーヒーブームの背景にあるものを2000年以降のカフェやコーヒー文化、歴史から紐解いていけたらと思っています。どうぞよろしくお願いします。
- 2000年、カフェブームの到来
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- 大井
- まずは2000年頃のお話からスタートしたいのですが、藤原さんが狩野さんに出会われたのが2002年頃ですよね。当時のカフェやコーヒーはどうでしたか?
- 藤原さん
- 丁度その頃は、CafeSnapの監修もされている東京カフェマニアの川口葉子さんのウェブサイトが隆盛を極めていて、カフェブームだったと思います。
カフェは“喫茶をする場所”という感じで、今のようにコーヒーが美味しいかを気にする人は多くなかったと思います。私は狩野さんのコーヒーを飲んで「なんてコーヒーって美味しいんだろう」と、そこからどんどんとハマっていった感じですが、それ以前は全くコーヒーに興味はありませんでした。
- 大井
- 藤原さんは当時、狩野さんのカフェ以外でコーヒーを楽しむ機会はありましたか?
- 藤原さん
- その頃は、もうスターバックスが日本に上陸していたのでコーヒーを飲む場所はありましたね。それに以前働いていた出版社の近くに“大坊珈琲店”があって。大坊珈琲店はできた頃からよくお昼休みに行っていました。
- 大井
- 私は大坊珈琲店が閉店する前に行けなかったんですが、大坊珈琲店はどのような印象を持たれていますか?
- 藤原さん
- 大坊さんのお店は、最初の頃とお辞めになる頃とでは、お店の在り方が違っていて、おそらく1975年頃だったと思うのですが、その頃は、店内のテーブル席で普通に打合せをしたり、おしゃべりができるような雰囲気でした。コーヒーはもちろんとても美味しくて、ファンも多かったです。
年月を経るにつれて、大坊さんはカリスマ的な存在になられていって、大坊珈琲店はみんなしゃべらずにどちらかというと、儀式のように静かにコーヒーを頂く場になっていったと思います。
- 大井
- そうなんですね。狩野さんはいかがですか?
- 東京で少なかった、美味しいコーヒー店
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- 狩野さん
- 私は生まれ育ったのが札幌で、結婚して東京に来たのが1990年なのですが、札幌にいる頃「東京に行ったら、さぞいろんなところで美味しいコーヒーが飲めるだろう」と思っていたんですね。ただ実際来てみると、案外、家の近所にそういうお店はなかったんです。
札幌は寒い地域なのでコーヒーを飲む機会も多くて、ギラギラ輝く深煎りの豆を出す店もあれば浅煎りの豆を出す店もあったりと、色々なコーヒー屋さんがありました。電車で何駅か乗ればコーヒー屋さんがあって、「犬も歩けばコーヒーに当たる」ってくらいだったんです(笑)東京では電車に1時間乗って、吉祥寺の今はなき“もか”さんや、自由が丘の“十一房珈琲店”さんに行かないと「美味しいコーヒーに出会えないんだな」という印象でした。
覚えているのが、新宿である喫茶店に入ったとき、浅すぎて酸っぱいコーヒーがでてきたことがあったんです。今のような“コーヒーの持ち味を出すための浅煎り”というわけじゃなくて焙煎して長く時間が経った、酸っぱさのあるコーヒー屋さんがすごく多くて、ちょっとがっかりしたことがありました。
全体に浅かったんじゃないかな。最近は私も酸味を愛せるようになってきましたが、それはコーヒー豆がいいから。昔はいいコーヒー豆が手に入りにくかったので、深く煎らないとどうしても酸味が際立ってしまいました。そんな中で、スターバックスが上陸して、日本のコーヒー豆の焙煎が深くなったと言われているんですよね。
- 大井
- スターバックスという言葉が出てきましたけれども、スターバックスが日本に上陸した辺りから色々なことが変わってきたのでしょうか?
- この続きは、Vol.2の「スターバックス上陸がもたらした大きな変化」で!コーヒーを身近にさせたスターバックスのアプローチやバリスタについて伺いました。次回は、 6月14日(火)公開予定です。どうぞお楽しみに!
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