人々を魅了する日本茶にしかない“香り” (Vol.3)
表参道にある茶茶の間の和多田さんにお話を伺っているプレミアムコラム、Vol.3では、和多田さんが日本茶の道に進まれたきっかけや、日本茶だけが持つという“香り”の魅力について伺いました。
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- “日本茶だけが持つ香り”に惹かれ、日本茶の道へ
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- 大井
- 和多田さんは2005年に茶茶の間をオープンされていますが、日本茶のお店を始められたのはなぜでしょうか? もともと日本茶がお好きだったのですか?
- 和多田さん
- 私は子供の頃からどちらかというと日本茶よりも紅茶のほうが好きで自宅で淹れて飲んでいました。ある時に「日本茶はどうなんだろう」と、広尾にある日本茶カフェを見つけて出かけたんです。今はなくなってしまいましたが、そこで飲ませてもらった日本茶にとても感動して! そこから興味を持って勉強を始めました。
日本茶のお店を始めた理由はいくつかありますが、ひとつは2000年当初、紅茶を飲ませてくれるお店はあっても、日本茶を飲ませてくれるお店はほぼありませんでした。「それなら自分がやってみよう」と始めたのが一番の理由です。
- 茶畑の景色が目に浮かぶ、日本茶の香りと味わい
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- 大井
- 日本茶のどんなところに感動されたのでしょうか?
- 和多田さん
- “香り”ですね。日本茶には“日本茶だけが持つ香り”があるんです。
- 大井
- それはどんな香りですか?
- 和多田さん
- すごく繊細な“茶畑の香り”です。日本茶は他の飲み物の原料と違って、畑の香りを茶葉に閉じこめるように作られているので、カップからは茶畑の香りが広がりますし、飲むと茶畑の風景が目に浮かびます。香りとともにそんな体験ができるのは日本茶だけだと私は考えています。
- 大井
- 茶畑の風景が目に浮かぶ……というのはすごいですね。
- 和多田さん
- それから、日本は海に囲まれた国ですが、個人的に日本人は山の民だと思うんですね。自然や森の香りが好きで、DNAに刻まれている。だから茶畑や山の香りを心地よく感じるのではないかと思います。
- 大井
- 日本茶は日本人としてのアイデンティティを呼び覚ましてくれる飲み物なのかもしれませんね。
- 日本の経済発展に寄与してきた、日本茶
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- 大井
- 素朴な疑問ですが、そもそもなぜ日本でお茶が多く作られているのでしょうか?
- 和多田さん
- 日本は明治維新以降、世界に絹糸とお茶を輸出していました。今でこそ日本にも工業製品がありますが、昔の日本は絹糸とお茶が主要産業で、お茶作りは日本の国家プロジェクトだったんです。明治政府も幕府も奨励していていたんですよ。
- 大井
- そうなんですか!
- 和多田さん
- それは地図を見ても分かります。国土交通省の国土地理院が発表している地図には、絹糸の原料になる“桑畑”と“茶畑”の地図記号が付けられていますよね。
- 大井
- その地図記号は学校で習いましたね。
- 和多田さん
- 歴史的背景を話すと、国土地理院はもともと陸軍で、例えば内乱が起きたとしても桑畑と茶畑は戦地にしないようにと、地図に表記していたそうなんです。
- 大井
- なるほど。国をあげて日本茶は大事に守られてきたということですね。
- 和多田さん
- はい。
- 大井
- 日本の発展に大きく貢献して、日本人が一丸となって茶畑を守ってきたと聞くと、より一層、現代に生きる私達も日本茶を大切にしなくてはという気持ちになりますね。
- この続きはVol.4の「ジャパニーズグリーンティー、その名の秘密」(https://cafesnap.me/talk/202)で!次回の更新は6月20日(火)です!どうぞお楽しみに!
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