世界初披露!新品種“MAMO”の開発秘話(Vol.2)
ミカフェートの川島さんにお話を伺っているプレミアムコラム、Vol.2は今回のトークイベントで、世界初お披露目となった新種のコーヒー“MAMO(マモ)”について伺いました!
ミカフェートが設けているコーヒーのグレードの中に、新たに加えられたRESERVAシリーズ。その第一弾として登場したMAMOの魅力とは?
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- 大井
- ミカフェートではシャンパンボトルに入ったGrand Cru Caféシリーズをはじめ、Premium Cru Caféシリーズ、COFFEE HUNTERSシリーズなど、コーヒーにグレードを設けていらっしゃいますよね。それはなぜでしょうか?
- 川島さん
- 最近、コーヒー業界を見ていると、多くのコーヒー店や会社、さらには缶コーヒーまでもが扱っているコーヒーをすべて“最高級品”と謳っていますよね。しかし、すべてのコーヒーが“最高級品”になることはまずありえません。
なぜなら、コーヒーはもともとフルーツですから、農園の中で日の当たりのいいところも悪いところもあります。その環境によってコーヒーチェリーにクオリティの差が生まれます。ミカフェートでは様々なクオリティのコーヒーチェリーを一緒くたにするのではなく、優れた環境で育った特級畑の豆はGrand Cru Café、次の一級畑で育った豆はPremium Cru Café、次の畑はCOFFEE HUNTERSシリーズと、グレードごとに味わえます。
そもそも私がこのようなグレードを設けたのには理由があります。例えば、ワインをイメージしてもらいたいのですが、有名なフランス料理店に行けば高級ワインがずらっと並んでいますよね。でも、街のレストランにも品質の良いワインはあるし、さらに若者や学生さんたちが行くビストロならば、テーブルワインでも美味しいものがたくさんあります。私は「価格にみあったコストパフォーマンスの高いコーヒーが楽しめる」、そういった世界を作りたいと思っているんです。
私は、コーヒーはこれからワインのように嗜好品としての価値を高めていけなければ、「この先、コーヒー業界自体が生き残れないのではないか」と考えています。生産国に長く住んで栽培に携わり、生産国も消費国のことも良く知っている私が、品質にみあった価格で提供する取り組みを率先してやることでコーヒー業界はもっと面白くなる。そう思いましたし、私の後にもそういった人が続いてくれたらと思っています。
- 新シリーズとして登場した“RESERVA”
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- 大井
- ここからは今日お披露目となるMAMOについて伺っていきます。まず、MAMOは新たに発表したグレード、“RESERVA(レゼルバ)シリーズ”に属しているそうですね。“RESERVAシリーズ”についてまず教えていただけますか?
- 川島さん
- Grand Cru Caféなどのこれまでのシリーズは、コーヒーチェリーが育つ農園の環境や、豆のクオリティで定義しているのに対して、RESERVAシリーズは “数年間以上の試行錯誤を経て完成した洗練度の高いコーヒー”を扱うシリーズとしています。
例えばMAMOはハワイのコナにあるグリーンウェル農園で栽培されているのですが、そこは海抜400mくらい。一般的に中南米の産地で、海抜300~600mは超低地でコーヒーに適さないと考えられています。しかしコナの地形は独特で、昼間は海から温かい風が吹き、夜は山からの冷たい風が吹くので、逆に600m以上になると寒すぎて良いコーヒーができにくくなります。なので、Grand Cru Caféのコナも海抜600mぐらいのところで作っています。
今回のMAMOは海抜約400mですから、農園の環境的にはGrand Cru Caféのほうが上になるのですが、栽培の過程でコーヒーの樹を品種改良し、交配種を作ったことで、ものすごく独特で美味しいコーヒーができました。
第一弾の発表となるRESERVAシリーズは、MAMOに加えてもう1つ、グアテマラのセバスティアン農園で作った“ミルキーブルボン”という銘柄もあります。これは精選処理を変えることで、コーヒーそのものに「ミルクが入っているのでは?」と勘違いするほどミルキーな味わいが特徴です。
このように、RESERVAシリーズでは、長い年月をかけて生み出された味わい深く希少価値の高いコーヒーを展開していく予定です。
- 品種改良で作られた世界初の新品種“MAMO”
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- 大井
- MAMOという名前はどのようにつけられたのでしょうか?
- 川島さん
- MAMOと命名したのは、このプロジェクトを一緒に取り組んでいただいたハワイ農業リサーチセンターの長井千文先生です。彼女とは26~27年前からの付き合いで、MAMOの人工交配を成功させました。
MAMOという名前は、掛け合わせているコーヒーの品種、“マラゴジッペ”と“モカ”の頭文字からとってきています。偶然なのですが、ハワイ語でMAMOを調べたら“子孫”という意味があったんですね。「これはすごくいいんじゃないか」ということでMAMOに決まりました。
- 大井
- マラゴジッペとモカを掛け合わせているということはそれぞれの品種の特徴がMAMOに現れているということですよね。
- 川島さん
- マラゴジッペはブラジルの北部にある街で確認された品種で、ティピカからの突然変異種とされています。ほっておけば6mぐらいに成長する大きな木で、豆もアラビカ種の中で最大です。味はバランスの取れたナッツ系のワイルドさが特徴です。
モカは皆さんよくご存じのように、美味しいコーヒーの代名詞ですが、こちらはすごく小さい豆です。香りがとてもいいですし、味の傾向としては酸味のあるコ-ヒーです。その2つを掛け合わせることでMAMOは生まれました。
- 大井
- 今、みなさんにもMAMOが配られていますが、お味としてはどう表現されますか。
- 川島さん
- どうですか皆さん、甘いですよね。甘くて透明感のあるクリーンカップです。おそらくモカの酸味や風味、それからマラゴジッペのワイルドさや大胆な風味も感じてもらえるんじゃないかと思います。
- 大井
- MAMOは人工交配で作られたということですが、発表にいたるまでにどれくらいの年月がかかっているのでしょうか?
- 川島さん
- 約18年ですね。
- 大井
- 18年! 18年かけて研究改良をされてこられて、今年2017年にお披露目することになったのはなぜでしょうか?
- 川島さん
- 実は、去年も少し収穫があったのですが、ビビっとくるものがなくて、MAMOを育てている農園主のトミーも「もう一年待ってみたい」と言っていたんです。新しい品種は、肥料の種類やそのあげ方を変えるなど試せることが多くあるので、色々とやっていく中で、今年はとてもいい味に仕上りました。
写真があるのですが、MAMOは今年、驚くほどに美しい白い花がぎっしりと咲いたんです。その開花を見た時に「どんなコーヒーができるだろう」という期待が高まりましたし、実際に収穫したコーヒーがとても美味しかったので今年お披露目となりました。
- この続きはVol.3の「世界最高品質を追求する、ミカフェートの徹底したこだわり」で!次回の更新は5月16日(火)です!どうぞお楽しみに!
- Photo : Rina Amagaya
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