ジャパニーズグリーンティ、その名の秘密(Vol.4)
“嗜好品としての日本茶の魅力”を伺っている、プレミアムコラム。Vol.4では、茶茶の間の和多田さんに、日本茶がどのように作られているのかをお聞きしました。グリーンティとジャパニーズグリーンティ、その違いとは?
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- 収穫した茶葉を“蒸して”作るのは日本だけ
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- 大井
- お茶は紅茶、烏龍茶など種類によって作り方が違うと聞いたことがありますが、日本茶はどのように作られているのでしょうか?
- 和多田さん
- 日本茶は葉を収穫した後、蒸して揉みながら乾燥させて作っています。緑茶の中でも、茶葉を“蒸す”という製法で作っているのは日本だけなんですよ。
- 大井
- 日本だけ……なんですか?
- 和多田さん
- はい、蒸して作るのは日本だけで、例えば緑茶の生産国1位の中国は釜で炒る“釜炒り”が主流ですね。
海外のスーパーなどに行くと “グリーンティ”と書かかれている商品と “ジャパニーズグリーンティ”と書かかれている商品を見ることがありませんか? それはそれぞれ違うものを指していて、日本独自の蒸すという製法で作ったのが“ジャパニーズグリーンティ”にあたります。
- 大井
- そうなんですね。恥ずかしながら、今までなんとなく“緑茶=すべて日本茶”だと思ってしまっていました。
- 和多田さん
- 世界における緑茶の生産国でみると中国が圧倒的。日本は2位ですが、生産量は中国とは比べものにならないぐらい少ないです。もし日本茶の希少性をコーヒーで例えるなら、インドネシアで有名なジャコウネコのコーヒー(コピ・ルアク)ぐらい。非常に限定的な産地で作られた希少な存在と言っても過言ではないです。
- 大井
- そうなんですね。日本茶がそこまで希少な存在というのは、多くの日本人が認識できていないかもしれませんね。
- お茶好きにとって歴史上最高に恵まれた時代
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- 和多田さん
- 日本にいると日本茶がどこにでもあるので気づくことは難しいでしょうね。
日本茶は主要産業として輸出された時代の後、国内でも急速に普及していきました。結果、国内では供給過多になりペットボトルなど、お茶の大量生産が始まったことで、かつて貴族だけが飲んでいた高級品としての日本茶の価値は薄れていってしまいました。
そんな中、再び「質で勝負しよう」と言われるようになったのは、この15年ぐらいのことです。今はインターネットも普及しているので、日本中のお茶を誰もが購入できて、日本茶好きにとっては歴史上最高に恵まれた時代です。
- 和多田さん
- ただ、これから先、“10年後には日本茶がなくなってしまうかもしれない”という危機感も持っています。
- 大井
- お茶屋さんがなくなってしまうんですか?
- 和多田さん
- お茶屋さんはどんどん少なくなっていますし、お茶農家さんも少なくなっています。
- 大井
- それはなぜですか?
- 和多田さん
- 今作られている茶葉は、ほとんどがペットボトルのお茶や加工品用だからです。さらに店頭でいえば“大量生産で作られたお茶”と“丁寧に作られたお茶”が横並びで売られています。すると、当然、安いお茶を手に取る人の方が多いので、丁寧に作られたお茶も価格を下げないと売れなくなっていく。これはお茶農家にとって厳しい状況ですよね。
- 守るために“嗜好品としての日本茶”を広めたい
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- 大井
- 日本にしかないものなのに、もったいないですね……。なんとかできないのでしょうか。
- 和多田さん
- ……。
なんとかできると思いますよ。“嗜好品としてのお茶”をちゃんと伝えていければ、日本茶は残っていけると思います。
最近では、コーヒーやワインなど、嗜好品として飲み物を楽しむ文化が広がる中で、日本茶も同じように嗜好品として捉える人が増えてきていますよね。それから、世代間の違いだと感じますが、自分の親の世代は、日本よりも海外に文化的背景があるコーヒーや紅茶に価値を置く傾向があるのに対して、今の若い世代は“日本にしかないもの、日本ならではのものに価値がある”という捉える人が多い。
だからこれからの10年間で、“市販されている大量生産のお茶”と“手間暇をかけて丁寧に作られたお茶”の違いをきちんと伝えていければ、“嗜好品としての日本茶”はちゃんと残っていくと思いますね。
- 大井
- 茶茶の間さんのコンセプトである“趣向品としての日本茶”というところを強調することで、より一層、お茶を楽しみ方は広がりそうですね。
- この続きはVol.5の「広がりゆく日本茶の新たな楽しみ方」(https://cafesnap.me/talk/203)で!次回の更新は6月27日(火)です!どうぞお楽しみに!
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