世界最高品質を追求する、ミカフェートの徹底したこだわり(Vol.3)
ミカフェートの川島さんにお話を伺っているプレミアムコラム、Vol.3は「すべてはコーヒーのために。」というコンセプトのもと、世界最高品質のコーヒーを追求する“ミカフェートのこだわり”について川島さんにお聞きしました!
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- “管理の行き届いた農園”を見極める方法
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- 大井
- ミカフェートではMAMOを含むすべてのコーヒーを、農園と直接取引する “ダイレクトトレード”で仕入れていらっしゃいますよね。農園で収穫してからカップ一杯のコーヒーになるまでに数々のこだわりがあるとお聞きしたのですが教えていただけますか?
- 川島さん
- ミカフェートのこだわりを話したら三日はかかりますが……(笑)少しずつお話していきましょう。まずひとつめのこだわりは“農園”です。ミカフェートでは取引するコーヒー農園をかなり厳選しています。
- 大井
- どのように判断されているのでしょうか?
- 川島さん
- 私が実際に農園に出向いて判断するのですが、まず見るのは農園を俯瞰で見たときの色です。コーヒーの木が同じ色かどうかを見ています。例えば、肥料をくまなくやっていれば葉の緑色は均一になりますが、栄養状態が行き届いていないと葉の色にもバラつきが出るため、農園全体の色を見ただけで隅々まで管理が行き届いているのかが分かります。
それから樹の形。私は単一品種のコーヒーを作っている農園であることも重視しているので、すごく高い樹があったり低い樹があったり、葉の形も違っている場合は、一つの畑にいろんな品種を植えていることになります。
これまでにいくつもの農園を見に行きましたが、自分の理想とするコーヒーを一緒に作れるオーナーかどうかは、5分ぐらいですぐに判断できます。難しい場合はすぐに違う農園に向かいますし、「すごいな」という農園主が現れたら、いきなり「今日ちょっと泊めてよ」と言うんです。
- 大井
- 出会っていきなり泊めてもらうんですか!? (笑)
- 川島さん
- はい。良い農園だと思ったらオーナーとゆっくり話がしたいですから。自分が理想としているコーヒーの話を一生懸命して、その農園に欠けている部分は何か、もっと素晴らしいコーヒーを作るためにどうしたらいいかのアドバイスもします。
- 川島さん
- 次にこだわっているのは、農園に“完熟豆を収穫してもらうこと”です。そのために僕は摘んでほしい赤さに熟したコーヒーチェリーの写真を農園に置いていきます。やはりコーヒーはフルーツ。みなさんもフルーツを食べるときは熟したものを召し上がりますよね。コーヒーも同じで、樹でじっくりと時間をかけて熟したものはとても美味しいです。例えばグラン クリュの場合は糖度25くらいに熟した実を収穫しているんですよ。逆に未成熟で収穫してしまったコーヒーはエグミが出てしまいます。
- コーヒーの味を決める精選処理過程で細かくコーヒーを選別
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- 川島さん
- その次に大事なのは“精選処理”。精選処理には大きく2段階あり、コーヒーチェリーの果肉を除去してパーチメント(外皮付きのコーヒー豆)の状態にする“ウェットミル”と、乾燥して選別する“ドライミル”があります。私はドライミルがコーヒーの味を決める上で最も重要なプロセスだと考えています。
ミカフェートで行っているプロセスとしては、まずは風力で重たい豆と軽い豆に分け、次に豆の大きさで振り分けます。品種によってどのサイズが美味しいかが分かっているので、その豆だけを選別し、次は密度での選別に入ります。
この密度の選別がまた重要です。豆の密度が高く、重い豆だけを集めれば美味しくなりますし、軽い豆が多ければコーヒーのクオリティは落ちます。さらに密度がバラバラの豆を一緒に焙煎すると、火の通り方も変わってくるので焼きムラができます。そうすると、味にばらつきも生まれてしまいます。
さらにそのあとには、お米の精選でも使われているコーヒー専用の色差選別機を使って、豆の写真を高速で撮り、穴が空いた豆や変色した豆をはじき飛ばします。そして最後にハンドソーティング。ベルトコンベアでやっているのをみなさんも見たことがあると思いますが、ベルトコンベアは流れていく分、豆の量が増えれば精度が落ちます。ミカフェートのグラン クリュの場合、ベルトコンベアを止めた状態でハンドソーティングして、全部終わったら動かす。そのくらい厳しく行っています。
- 大井
- それだけいくつもの厳しいチェックがされていると思うと、Grand Cru Caféのような高級なシリーズが生まれるのも納得です。
- コーヒーの品質に影響を与える輸送方法も徹底
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- 川島さん
- まだ続きがありますよ。次のこだわりは“輸送方法”です。ミカフェートでは、Grand Cru Caféはすべて空輸、それ以外のコーヒー豆は温度管理ができるリーファーコンテナで輸送しています。その場合、コンテナを農園まで運んでコーヒー豆を詰め、16℃を保ったまま横浜の港まで運んできています。
ただ、現状、今日本に入ってきているコーヒーの99%は貨物の輸送に使うドライコンテナです。ドライコンテナは、海の上で日差しに照らされて60度以上にもなるんですね。これは人間も生きていられない温度です。つまり、ドライコンテナで運んだ場合は、コーヒーへのダメージも大きく、日本に着くころには元々の品質ではなくなってしまっています。 “最高級品”を謳うのであれば、輸送も徹底して品質の高いコーヒー豆を提供する、それがミカフェートの考え方です。
実は、ミカフェートはエチオピアのコーヒーを扱っていないのですが、理由はここにあります。エチオピアではリーファーコンテナが手に入らないんです。エチオピアは内陸国なので最も近い港に出るまでに、まず日中50℃以上にもなる日差しの下を車で運ばなくてはいけません。さらにその後もドライコンテナでコーヒーを日本に運ぶという手段しかありません。ドライコンテナでコーヒーを運ばないといけないのなら、買わない方がいい。ミカフェートはそれぐらいコーヒーの品質維持のための輸送にこだわっています。そして日本に着いたコーヒー豆はすぐに脱酸素包装で小分けにし、18度のコーヒーセラーにいれてフレッシュな状態で保管します。
- 年代ごとにコーヒーを飲みくらべができるGrand Cru Café
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- 川島さん
- これらのプロセスは本当に大変なことですが、ミカフェート設立の2008年からずっと続けてきて、今年ようやく約10年分のコーヒー豆が揃いました。そしてついに、“コーヒーをワインと同じような世界観を持った飲み物にする”ということを具現化したお店“GRAND CRU CAFÉ GINZA”をGINZA SIXの最上階に構えることができました。Grand Cru Caféでは、ワインのように産地ごとのコーヒーを2008年度から年度別に飲み比べできるという、これまでにないコンセプトの店。まさにミカフェートの集大成なので、ぜひ機会があればお越しいただきたいと思います。
- 大井
- 高品質のコーヒーのために、細部にまでこだわりチェックを重ねて、ミカフェートのコーヒーはできているんですね。
- まだ出会えていないコーヒーと生産者のために旅を続けたい
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- 大井
- 最後の質問になりますが、川島さんはこれからどのようなコーヒーを作りたい、探したいと思われていますか?
- 川島さん
- まだまだ僕が見つけるのを待っているコーヒーの樹が世界中に残っているし、僕と出会うのを待っている生産者も世界中にいると信じているので、これからも旅を続けていきたいと思っています。それは果てしない旅になると思うので、そういう意味では元気でいないといけないですね(笑)。そしてこれからも「さすがミカフェート」と皆さんにうなずいていただけるような美味しいコーヒーを世界中から探してきますのでよろしくお願いします。
- 大井
- コーヒーハンターとしての旅はまだまだ続いていくのですね。今日は世界初お披露目のMAMOについて、そしてミカフェートのこだわりについて貴重なお話をありがとうございました。
- 川島さん
- ありがとうございました。
- 次回のプレミアムコラムは、表参道の日本茶専門店“茶茶の間”の和多田 喜さんをお迎えします!どうぞお楽しみに!
- Photo : Rina Amagaya
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