池尻大橋コーヒータウン・仕掛人の素顔(Vol.1)
CafeSnap発案者の大井がお話をお伺いしているプレミアムコラム。第15回目は、池尻大橋コーヒータウンの発起人で、Good People & Good Coffeeの代表、池田誠さんの登場です!
今や清澄白河に次ぐコーヒータウンとしてメディアでも多く取り上げられている池尻大橋。ライター、スタイリスト、編集者というキャリアを持つ池田さんが、この新しいコーヒータウンとその中心にいるGood People & Good Coffeeをどのように企画してきたのか伺いました。
-
池田誠さん
Good People & Good Coffee代表。大学時代から出版業界でライター、スタイリスト、編集者として活躍後、自らが好きな自転車、コーヒー、アートを軸にビジネスをスタート。現在はGood People & Good Coffeeを起点に池尻大橋コーヒータウンとフェスティバルを企画している。
-
- 最旬ギャラリーを持つ、コーヒースタンド
-
- 大井
- 今日はよろしくお願いいたします。では、まずは“Good People & Good Coffee”について教えていただけますか?
- 池田さん
- Good People & Good Coffee(以下GP&GC)はコーヒースタンド兼ギャラリーです。コーヒーは一緒に運営しているブリュワーの岡本のほうが詳しく話せると思うんですが、「自分たちが毎日飲みたいもの」をテーマに、焙煎士さんと相談して作ったスペシャルティコーヒーのブレンド2種類を提供しています。
ひとつは“Johnny B.goode(ジョニービーグッド)”。香りが高くしっかりとしたコクがあり、カラメルやコーヒーの甘さが感じられるブレンドです。“Johnny B.goode”は、「読み書きできない田舎者だけど、こいつはいずれ有名になるだろう」っていう内容の歌詞で、「自分たちはコーヒーのスペシャリストではないけど、いずれ有名になるだろう」という想いを重ねています。
もうひとつの“Tomando(トマンド)”は、フルーティで爽やかなブレンド。これも“Tomando cafe”というタンゴの曲からつけています。僕も岡本も映画が好きなんですが、若き日のチェ・ゲバラの、南米旅行を題材にした青春映画“The Motorcycle Diaries”のダンスパーティシーンでかかる曲なんです。情熱と甘酸っぱさのある映画と曲がブレンドの味とあうなと思って付けました。
- 大井
- ギャラリーではどのようなものを展示しているのですか?
- 池田さん
- 先日まではオーストラリア人アーティスト“Adrian Hogan(エイドリアン ホーガン)”のパノラマアートを展示したり、ジャーナルスタンダード ファニチャーさんのポップアップもやっていました。今は季節的に暑くなってきたので、今治タオルの素材を使った、動物顔がモチーフになっているタオルのポップアップをしていて、常に色々な企画物をやっています。
このエリアの特徴でもあるんですが、この街はクリエイターの人が多いんですよね。アパレルの人、グラフィックをやっている人、雑誌を作っている人、インテリアをやっている人……。そういう人たちがお店に来てくれることもあって、よいアーティストを発掘しては一緒に企画をしています。だから、バラエティに富んだ展示になっていると思います。
- “編集力”で カフェと街をプロデュース
-
- 大井
- 確かに。私も毎回来るたびに、展示やポップアップが変わっているので、それがひとつの楽しみだったりします。頻度高く展示を変えるのは大変じゃないですか?
- 池田さん
- そうですね。ただ僕はGP&GCを自分がずっとやってきた“雑誌”に置き換えて考えてるんですよ。簡単に言うと、コーヒースタンドがレギュラーの“連載”で、ポップアップやギャラリーが雑誌の季節にあわせた“特集”。GP&GCは1つの雑誌というか媒体で、それを客観的に見ながら僕が総合的に編集するイメージでやっています。
雑誌はやっぱり飽きさせてはいけないし、ファンを作らないといけない。それはコーヒースタンドも一緒です。雑誌の場合は、ディレクション能力と細部をつめながら作っていく“編集作業”があります。僕はそれが身についているのでコーヒースタンドも雑誌に置き換えて考えているんだと思います。
- 大井
- なるほど……。「お店をメディアとして考える」というのは初めて聞くアイデアで、面白いですね。細部までつめてこだわることで、ファンがついたり、愛されるプロダクトになるというのもその通りですよね。小さいこだわりの積み重ねが、その媒体にしかない“世界観”を作ると思うので、編集する人が「どういう世界を作りたいのか」っていうことを、頭において企画したり、進めていくことはすごく大事ですよね。
- 池田さん
- そうですね。
- 海外カルチャーから磨き上げたセンス
-
- 大井
- ちなみに、GP&GCの店舗を初めて見たとき「お店の中にもう1つ家がある!」と驚いたんですが、どうしてこのような店舗デザインにされたのでしょうか?
- 池田さん
- 店舗を作る時、“ギャラリーを併設したコーヒースタンド”というコンセプトが僕の中にありました。店内に店があるようなデザインにしたのは「スタンドというからには“小さいお店”というイメージを表現したかった」というのがひとつ。もうひとつは、この場所はそこまで広くないので、奥行と広さがあるように目の錯覚を狙っています。お客様は「この屋根がどうなっているのか」「店内はどうなってるのか」を入り口で考えるので、その広さを演出することですごく面白さが出てるかなと思ったんです。
- 大井
- なるほど。店舗もそうですが、お店のロゴや看板などスタイリッシュでかっこいいデザインが多いですよね。全体的にイメージしていた世界観があったのですか?
- 池田さん
- 雑誌の仕事をしていたので、何度も海外には行っていましたし、これまで色々なものを見てきた中で選りすぐって、自分の好きなものを出せているのかなと思います。それはアメリカっぽかったり、イギリスっぽかったり、イタリアっぽかったり……。いろんな世界のものをミックスしているんですけど、共通して言えるのは “今まで見た中でかっこいいと思えるものを表現していること”。特にタイポグラフィーやサインは自分が好きなジャンルなので、かなりこだわってますね。
- 大井
- 海外から学んだものは大きかったですか?
- 池田さん
- そうですね。初めてアメリカに行ったのが大学生の時だったんですけど、最初はアメリカが好きだったんですね。当時、ファッションライターの駆け出しで、洋服の知識もあったので、知り合いのお店の買い付けに同行していたんです。そこから様々な国に旅行に行って、いろんなものを見て……、日本とは全く違う世界だったのでカルチャーショックをすごく受けて帰ってきたのを覚えています。それからは、学生ながらもお金が貯まったらアメリカに行って、雑誌の仕事を頑張ったらまたアメリカに行って……その頃は雑誌で海外行くのも全然可能だったんで、うまいこと企画して海外に行くことを続けていましたね。(笑)
特に英語が得意なわけではないんですが、好きな者同士はすぐに繋がるので、色々な人と仲良くなって、その頃、知り合った人たちとはいまだにみんなずっと仲がいいですね。
- 大井
- その海外での経験が、スタイリッシュなものを見抜く力と編集力を育てて、池尻大橋コーヒータウンのプロデュースにもつながっていくんですね。
- この続きは、Vol.2「池尻大橋コーヒータウンフェスが成功した理由」で!次回は7月5日(火)公開です。どうぞお楽しみに!
注目トピックス
新着の投稿
新着まとめ
地域を選択する