池尻大橋コーヒータウンフェスが成功した理由(Vol.2)
池尻大橋コーヒータウンの発起人で、Good People & Good Coffeeの代表、池田誠さんにお話をお伺いしているプレミアムコラム。Vol.2は池尻大橋でコーヒータウンを始めたきっかけや、大盛況に終わった第一回目の池尻大橋コーヒータウンフェスティバルについて伺いました。
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- 池尻大橋コーヒータウンのはじまり
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- 大井
- 池田さんは池尻大橋コーヒータウンの発起人でもありますよね。どうして“池尻大橋コーヒータウン”をやろうと思ったのですか?この街にはもともとコーヒー店が多くあったのでしょうか?
- 池田さん
- GP&GPを始めた頃、池尻大橋にコーヒー店は全然ありませんでした。それから約1年後にStarbucks(スターバックス)さんができて、Bubbles Chill Coffee(バブルズチルコーヒー)さんができて。当時から店同士で敵対することはなかったですし、「盛り上がってきていいね」って話をしていたんです。
そうこうしているうちに続々とカフェが増えて、PNB COFFEE(ピーエヌビーコーヒー)さんがオープンしたくらいの時に「これはさらに増加傾向にあるぞ!」と確信して。そうなれば「コーヒータウンって言った者勝ちじゃない」と思ったのと(笑)、「みんなで盛り上げて街に人を呼ぼう」と考えたんです。
コーヒーを担当している岡本が「#池尻大橋コーヒータウン」っていうハッシュタグを作ったのをきっかけに、他店と協力してInstagramなどで投稿を始めたんですね。そしたら思った以上のスピードで拡散して。今のSNSの早さはすごいなと。じわじわと話題になり始めた頃にCafeSnapさんが取材に来てくださったんですよね。
- 大井
- 私が最初に池尻大橋コーヒータウンのハッシュタグのことを聞いたのは、PNBの方からだったんですね。当時すでに1500件もの投稿があったので「これは面白い動きだな」と思いました。その後、池田さんにお会いして、「コーヒーをきっかけに街を盛り上げたい」というお話を聞いて「清澄白河があれだけ盛り上がっていることを考えると、ハッシュタグの実績もあるし話題性もある」とすぐに記事を書かせて頂きました。
記事を公開した後の動きはすごかったですよね。清澄白河に次ぐ、ネクストコーヒータウンを待っている人がすごくいるなと感じました。その後も、雑誌や他のウェブメディアでもたくさん特集されているのを拝見しましたよ。
- 池田さん
- なんかすごいことになってきちゃって(笑)。雑誌もおかげさまで結構な媒体で特集して頂きました。「東の清澄白河、西の池尻大橋」とまで言ってもらえて……。「すいません、一緒に上げてもらって!」みたいな感じでしたけど。(笑)
ただ、最近はみなさん「街=食べ物・飲み物」という考え方になってきたのかなという気がしているんですね。例えば「池尻大橋ならコーヒー、世田谷だったらパン」みたいな。だから、丁度いいタイミングで池尻大橋コーヒータウンは形になったなと思いました。ただ、決定打はCafeSnapさんも参加して頂いたフェスですね。
- 大井
- 池尻大橋コーヒータウンフェスティバルは大盛況でしたね。
- 池田さん
- いまだに言われます。「次はいつやるんですか」って(笑)。
- 大井
- そうですよね。すごく思ったんですが、池尻大橋コーヒータウンフェスの魅力は、他のコーヒーイベントとは違って、いい意味で“緩い”んですよね。それが池尻大橋らしさというか。緩いけど、オシャレで、みんなそれぞれのペースでコーヒーを楽しんでいる感じが、たくさんの人を巻き込めた理由かなと。何かと「丁度いい!」と思いましたね。
- 池田さん
- それもちょっと雑誌の編集的な考えだったのかもしれないです。普通、コーヒーのことを語り始めると、淹れ方や味や産地がどこで……という少し難しい話がついてきがちですよね。それが深くて面白くて好きなの人がいるのも十分わかっているんですが、コーヒー豆の個性も飲む人の嗜好も人それぞれなんで。
僕は「コーヒーが好きでコーヒースタンドに飲みに行きたい」っていう人は、そこにある“何か”を求めて行っているんだろうと思うんです。例えばうちだったらギャラリー。コーヒー以外の要素に楽しみを持っていくことでコーヒースタンドやイベントの価値が上がると考えていて、それを押し出す形で「池尻大橋コーヒータウンフェスティバル」を企画しました。
- 大井
- それはすごく編集者的な視点が入っているなと思いますね。物事を追求して深く考えたうえで、みんなが理解しやすい形でアウトプットする。雑誌でいう“読む人たちのことを考えている”感覚。池尻大橋コーヒータウンに参加する人たちのことをすごく考えられているなという感じがします。
- 時代をひっぱるには、0.5歩先ぐらいがちょうどいい
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- 池田さん
- 岡本ともいつも話しているんですけど、一歩先だと“みんな”はついてこられないから、0.5歩くらい先をいこうって。
- 大井
- ほんとにそうですね!!
- 池田さん
- コーヒーに限らずいろんなものって、0.5歩先くらいが丁度いいんだと思うんです。リーダーシップも取りやすいんですよ。
- 大井
- 多くの人を巻き込んで引っ張っていくには0.5歩先がちょうどいい……。
- 池田さん
- そうそう、その感覚です。専門的なことはもちろん分かっているとしても、お客様に歩み寄っていないと、理解してもらえないんで。常に「0.5歩先の感覚をもって、間口を広げ、多くの人が参加しやすいものを作る」というのが裏のコンセプトにはありますね。
- 大井
- それは、かなり池田さんならでは考え方のように思いますね。雑誌でいう「ターゲットのことを考えて、その人たちが喜んでくれるものをいかに企画するのか」というところですよね。0.5歩先……メ、メモります(笑)。
- 池田さん
- (笑)。
- これからの池尻大橋コーヒータウン
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- 大井
- 今後、池尻大橋コーヒータウンで予定されていることはありますか?
- 池田さん
- フェスに協力してくれた各ショップのみなさんとは「イベントはまた来年の同じくらいの時期にやりたいね」と話しています。その間に、地域イベントとしての色を濃くして、“池尻大橋コーヒータウン”というブランディングを強化し、街に人を招致する努力をしていきたいですね。
それはまた別のイベントかもしれないですし、池尻大橋コーヒータウンとして僕たちが別の街に出ていくことかもしれない。コンテンツとしてなにかの企画に参加していくというのがあってもいいかなとも思ってます。
- 大井
- そうすることでこの街とお店、お客さんのネットワークを盛り上げていくことができますもんね。
- この続きは、Vol.3「黄金時代の出版業界で学んだこと」で!次回は7月8日(金)公開です。どうぞお楽しみに!
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