日本とメルボルン、カフェ文化の違いとは(Vol.4)
メルボルンで4年間バリスタとして働き、現在はPRANA CHAIを日本に広める活動をしている野村さん。今回は、メルボルンと日本で感じたカフェ文化の違い、バリスタに求められること、そしてこれからバリスタ留学に向かう人に伝えたいことを伺いました。
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- 大井
- 日本もいま続々とカフェが増えていますが、日本とメルボルンでカフェに違いはありますか?
- 野村さん
- 一番違うのはコミュニケーションですね。オーストラリアでは、カフェの中で朝ごはん食べながら友達と話したり、テイクアウトのコーヒー待っている間に店員さんと話したり。「今日どう?なんか面白いことあった?」って必ず挨拶や会話が入ります。日本はそういったコミュニケーションが少なくて、会話が生まれにくいチェーン店や自販機がまだまだ支持されているように思います。
- 大井
- 日本にはコミュニケーションを取るだけの心のゆとりや時間がないんでしょうか……。
- 野村さん
- というか、そこに価値を感じられていないのかなと思うんです。100円で買う自販機のコーヒーと400円で買うコーヒーショップのラテ。300円の差を埋めるのは味だけじゃないですよね。会話をして、元気をもらったり、頭をリフレッシュしたり、そこに価値を感じる人もいるとは思うのですが、それがまだすごく少ないのかなと思います。そこは僕らバリスタたちが頑張っていかないといけないところでもあると思います。
- 大井
- コーヒーについてはいかがですか?
- 野村さん
- 総合的なものだと思います。サービスのスピードだったり、スタッフだったり、使っている豆の味が自分の好みとあうか。あとは、それぞれ自分のお気に入りの温度や味の濃さもあるので、それも店を選ぶ一つになっていると思います。
- 大井
- 飲む側であるお客様の知識もあるということでしょうか?
- 野村さん
- そうですね。「どこの豆を使っているの?」とはよく聞かれましたね。だからコーヒーに対しても手を抜いたものは支持されないと思うんです。
- 大井
- 一杯一杯飲むときのコーヒー豆の産地は気にされますか?
- 野村さん
- そこまでではないかなぁ。ただ、その文化もいま育ちつつあるところで、日本と比べると知っている人は増えてきていると思います。
- 伝えること、それがバリスタに求められる能力
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- 大井
- 野村さんがメルボルンで、学んだことで印象的なことを教えてください。
- 野村さん
- チャイもコーヒーもルーツがあるじゃないですか。それをきちんと“伝えること”が大事だと学びました。だから、カフェの中で最後にお客さんにドリンクを持ってく人の役割はすごく大きいと感じています。
素晴らしい豆を育てて、豆の個性を引き出す焙煎をして、完璧にグラムを測って抽出し、美しいラテアートを施して……最終的にその過程を“伝える能力があるか”がバリスタとして大事。最後に働いてた、Code Black Coffee Roastersという有名なロースターは、自分の動き全てがエンターテイメントだと考える店だったんですね。だから、常にかっこよくその場にいないといけないし、サーブする時も「これはどういう豆ですよ」と一言添えて。そこまでやるのが自分の思い描くバリスタですね。
- 大井
- 伝えることで何が変わるのでしょうか?
- 野村さん
- 言葉にして表すのは難しいですけど、よく言われるバトンリレーみたいなものですよね。PRANA CHAIで言えば、全て手作りなので、作り手の想いを反映したいし、正しくお客さんに届けたいという気持ちがあります。お客さんの目の前までバトンを丁寧につないできても、最後に落としたら意味ないですもん。
- 大井
- なるほど。そして言葉で伝えなければ、そこまでのバトンがあったことさえ見えない場合もありますよね。それに飲む側としても伝えてもらったほうが、感じることが増えたりするんですよね。より美味しく感じたり、愛着もわく気がします。
- 野村さん
- 少なくとも興味持ってもらえるかなと。それが自分がずっと言ってる“価値”だと思うし。そういうのもカフェでする体験することの1つですよね。
- バリスタ修行に行く人に伝えたい事
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- 大井
- 今、日本からメルボルンにバリスタの勉強をしに行く人も増えていますが、先輩バリスタとしてなにかアドバイスをいただけますか?
- 野村さん
- よく働き、よく遊べじゃないですかね(笑)。友達を作ってなんぼです! コネクションはすごい大事だし、色々な情報が入ってくるのはやっぱり友達からだから。
仕事をするのも大事ですけど、仕事以外でバリスタの友達作って、コーヒーを一緒に飲んで味の違いを話しあえることも、大事な経験になると思います。
- この続きは、Vol.5「これから挑戦する日本ならではのアプローチ」で!次回は8月5日(金)公開です。どうぞお楽しみに!
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