元小学校の先生が作る人気コーヒー店(Vol.1)
CafeSnap発案者の大井がお話をお伺いしているプレミアムコラム。第17回目にお迎えするのは、私立珈琲小学校の吉田恒さんです!
小学校の教員を21年間勤められた後、コーヒーの世界に入った吉田さんが作るカフェとは……?そして、世代を問わず多くの人から愛される吉田さんの魅力にも迫りました。
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吉田恒さん
私立珈琲小学校、担任。21年間小学校の教員を務めたのち、準備期間を経て池尻大橋に私立珈琲小学校を開校。「吉田先生」の愛称で親しまれ、お客様の中には実際の教え子も多数。2016年7月、代官山・猿楽小学校前に場所を移転し、新学期をスタートさせたばかりだ。
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- 学校もコーヒー屋も、集まった人が仲良くなれる場所
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- 大井
- 今日はよろしくお願いします。“私立珈琲小学校”の新学期がスタートしましたね。まずはお店についてご紹介いただけますか。
- 吉田さん
- “私立珈琲小学校”という名前は、僕が小学校の教員を長く続けていたことに由来しています。もともと僕は外で「先生」と呼ばれるのがあまり好きじゃなかったので、“学校”が付く店名をつける予定ではなかったんですが、池尻大橋時代に店舗を貸してもらっていたイカ玉焼きとプリン屋の“マハカラ”の店長さんが「自分の持っている過去や自分の持っている力を全面的にだしたほうがいい」とアドバイスをくれたんです。「吉田先生のお店に行こうよ、と言ってもらえるようなお店にしたらいい」と。
考えてみると“学校もコーヒー屋も同じ場所に集まった者同士が仲良くなれる場所”だと思うんですね。学校は家庭のルールで育ってきた子どもたちが初めて社会に出て、違うルールの人たちと出会い、楽しい空間を作っていく場所ですし、好きなものを見つけていく場所。私立珈琲小学校もそうなればいいな、と思ってこの名前にしました。
- 大好きな人や信頼できる人の“想い”を引き継ぐメニュー
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- 大井
- 吉田さんの個性が詰まっていて素晴らしい店名だと思います。ドリンクやフードはどのようなものを提供されていますか?
- 吉田さん
- ドリップコーヒーやエスプレッソを使ったドリンクを中心に取り揃えています。豆はONIBUS COFFEE、CAFE FACON、ARISE COFFEE ROASTERSなど僕の大好きなロースターさんから。あと、オーナーさんが「夜みんなと話をしながら飲んだりする時間がほしい」と話されていたので、クラフトビールと新たにバーテンダー経験のあるパートナーを迎えてコーヒーを使ったアレンジドリンクも提供しています。
食べ物も僕が大好きな人たちや信頼できる人が作っているもので、なおかつコーヒーと相性が良いものを用意しています。具体的にいうと、ひとつは池尻時代からお世話になっているマハカラのプリン。もうひとつはフタバベーカリーのグラノーラ。僕の初めての卒業生の妹さんがフタバベーカリーで厳選した素材を使い小さい子どもでも食べられるグラノーラを作っていて、それを応援したいなと思って。今後は僕が料理を習いに行っていた教室の先生がバターや砂糖を使わずに美味しいお菓子を作られているので、そこから何種類か季節のケーキと食事にもなるケークサレなどを入れる予定です。
- 出会いのきっかけを作る、こだわりのベンチ
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- 大井
- 空間についてはいかがですか?
- 吉田さん
- 池尻大橋の時は小学校のロッカーに見立てたものやランドセルなども置いていたのですが、ここはギャラリーを見ながらみんなが話したり飲める場所にしたいというオーナーさんの希望もあったので、ギャラリーに寄り添った空間にしています。
- 大井
- こだわったポイントはありますか?
- 吉田さん
- 1つ、お願いして作ってもらったのは店の前のベンチです。もともとこのスペースはウッドデッキができる予定で、植え込みの前には落ちないようにと鉄の支柱がついていました。そこに机を置いて席を作る予定になっていたのですが、机を置くとギャラリーに背中を向けて座る席ができてしまうし、スペースも狭くなる……と思ったので、その改善策としてベンチを提案しました。というのも、僕はPADDLERS COFFEEが好きなんですよね。
- 大井
- あ!PADDLERSの雰囲気ですね!!
- 吉田さん
- 僕は松島くんが大好きで!だからこれはPADDLERS風にするしかないと(笑)。桜の木はないですけど、ベンチを作ることで犬も入れたり、小学生が入って座っていたりすることもあるんですよ。
- 大井
- 目の前……小学校なんですよね。
- 吉田さん
- そうなんです!
- 大井
- それは、なんかこう……。
- 吉田さん
- 運命的ですよね。そこに小学生が座ってコーヒーを飲んでいる大人と話しても面白いと思うし、外の人を中に引き込むじゃないですけど、そんな空間にしたいなと思っています。それはきっとこのベンチだからできることです。
- 吉田さん
- あとは一年後、二年後、十年後ってなった時に「あの頃はこうだったけどこうなったよね、これの状態もいいよね」って言えるように時間が経つと味わいが出てくる素材や経年変化するものを使っています。この木はオーク。ここは銅板です。早速、搬入中に傷がついているんですけど(笑)でもこれもいいかなって。それにいくつかの素材が組み合わさるように、この場所で色々な人と出会ってほしいという想いもあります。
- 大井
- なるほど、そうですね。
吉田さんは21年間、小学校の教員をされていて、その後コーヒー屋さんを始められていますよね。コーヒー屋のお話しの前に、どうして教員になられたのですか?
- 吉田さん
- どうしてコーヒー屋になったのかを聞かれることはあるんですけど、どうして教員になりたかったのかっていうのを聞かれたのは始めてですね!(笑)。
僕……すごい悪い子で……強烈悪い子。ジャイアンみたいな本当に本当に悪い子だったんです。
- 大井
- そうなんですか!?まったくイメージがわかないんですけど……それはいじめっこっていうことですか?
- この続きは、Vol.2「自分を変えてくれた先生との出会い」で!次回は8月16日(火)公開です。どうぞお楽しみに!
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