自分を変えてくれた先生との出会い(Vol.2)
私立珈琲小学校の吉田さんにお話をお伺いしているプレミアムコラム。Vol.2のテーマは「自分を変えてくれた先生との出会い 」です。
小学生の頃は喧嘩も多かったという吉田さん。 吉田さんが先生になりたいと思われたきっかけ、そして後にお店のコンセプトにも繋がっていく教員時代のことを伺いました。
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- 悪い子だった小学生時代
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- 大井
- 吉田さんは21年間、小学校の教員をされていて、その後コーヒー屋さんを始められていますよね。コーヒー屋のお話しの前に、どうして教員になられたのですか?
- 吉田さん
- どうしてコーヒー屋になったのかを聞かれることはあるんですけど、どうして教員になりたかったのかっていうのを聞かれたのは始めてですね!(笑)。
僕……すごい悪い子で……強烈悪い子。ジャイアンみたいな本当に本当に悪い子だったんです。
- 大井
- そうなんですか!?まったくイメージがわかないんですけど……それはいじめっこっていうことですか?
- 吉田さん
- 六年生の時に身長が170㎝あって、本当に悪いやつでした。ケンカもよくしていたし、あの頃は、言うこと聞かないやつは殴っていうこと聞かせればいいと思っていました。小学校4年の先生に「もう吉田くんの担任は二度としたくありません」って言われたほどです。
- 大井
- そうなんですか……正直、かなり意外です。
- 吉田さん
- でも5、6年の先生が徹底的に僕と戦ってくれるすごくいい先生だったんです。中には、手のかかる子の機嫌をとって上手くのせてクラスを作ろうとする先生もいると思うんですけど、その先生は徹底的に僕と戦う先生でした。だから、ガンガン叱られたし、毎日「今日は何を理由に叱られるのかな」って思いながら通学していましたね。
よく覚えているんですけど、ある日、避難訓練でみんなが待機しているときに、僕がおしゃべりをしていたんですよ。そうしたら先生がものすごい形相で前から向かってきて、僕のほっぺたをギュッとひねって下からバチンってひっぱたかれたんです。
「お前がしゃべって死ぬのは構わないけど、周りを巻き込むんじゃない!」と言われました。その時にしゃべっていて自分が死ぬのはしょうがないけど、僕と話していた人が死んだらそれは一生後悔するなって。「あぁ、なるほどな」ってすごく納得したんです。今までになく、そういうまっすぐな叱り方をしてくれる先生だったんです。もちろんビンタつきですけどね(笑)。
- 大井
- 常にビンタだったんですか(笑)?
- 吉田さん
- その頃は許されていた時代で。そのビンタはすごく覚えていますね。僕も叱られて納得していたし、僕を嫌いで叱っているんじゃないってことがすごく分かったから、それが僕の中では大きな転機でした。それから自分のワガママで誰かに嫌な思いさせたりするのは「本当に良くないんだな」って、すごく思い知らされたんです、やっと(笑)。
それに僕自身はすごく叱られていたんですけど、その先生は僕たちがやりたいと言ったことに関して、お金も時間も使って全力で僕らにやりたいことをやらせてくれました。
例えば、教室にケガをしたすずめが入ってきた時にはエサが必要だからと、「吉田、エサ買って来い」って、授業中にお金を渡されて近くのコンビニが行ったこともありました。そのすずめをみんなで育てて離してあげたり……。みんなが「凧を作りたい」と言ったらすぐに竹を買ってきて、一日使って巨大な凧を作り屋上から校庭に向かって飛ばしたり。そういうアクティブなことをダイナミックにやってくれる先生でした。
- 大井
- 吉田さんが先生になりたいと思われたきっかけは、その先生が関係しているのでしょうか?
- 吉田さん
- 「自分を変えてくれた先生みたいになりたいな」と思いましたね。あと決定的だったのは大学の時に行った教育実習。それがめちゃくちゃ楽しかったんですよね。
- 子どもたちが“輝く瞬間”に立ち会える喜び
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- 吉田さん
- 教育実習で小学校二年生の担当をしたんですが、そのときにT君という少し手がかかる子がいて、その子を含めてよく休み時間にドッチボールしていたんです。僕は大学生で相手は小学二年生。当然、手加減をしていたんですね。教育実習最終日も普段と変わらずドッチボールをすることになって、いつもと同じように楽しく盛り上がったんですが、みんなで帰るという時に、T君がワンワン泣いていたんですよ。「どうした?T君」と聞いたら「吉田先生は最後まで僕たちと“本気で”ドッチボールをしてくれなかった」と言ったんです。
そのときに「子どもたちは自分が本気でやっているか、やってないかが分かるんだ」と。すごく感動して、教員っていい仕事だなって改めて思ったんです。それで教育実習を終わってからも教員をやろうと強く思いました。
- 大井
- 教員をやられていたのが21年間、特にどんなことにやりがいを感じてらっしゃいましたか?
- 吉田さん
- 僕が思っている以上のことを子どもたちが考えていた時にすごく感動しましたね。以前、学芸大学附属の竹早小学校というところで4年生の担当をしていたことがあるんですが、そこは子ども達と時間割や年間の計画を決めるという斬新な学校でした。4年生になった始めに教科書を配ってどんな勉強をするのか、どんな行事があるのかを説明して、子どもたちに一年間を通してどの時期にどんな活動がしたいかを聞いたんです。
ほとんどの子が「う~ん」と考えている時に、Kさんという子が「先生!」と手を挙げて「大きな活動は大きな目標がないとできないです!」と言ったんですね。そのときに、「おお、すごいな!」って、感動しました。「大きな活動には大きな目標を持つ」というのは仕事もそうですよね。「何をやりたい」の前に、「チームを1つにするためのコンセプトや目標をちゃんと確認しないとだめだ」って、小学校4年生に改めて教えられて。そうやって“子どもたちが輝く瞬間”に傍にいられるのはめちゃくちゃ幸せだなと思いました。
- 大井
- そういった出来事がやりがいとなって、吉田さんご自身も成長されたり、磨かれていったということでしょうか。
- 吉田さん
- そうですね。子どもたちは大人よりちゃんとしている。そう感じさせられることが多くありました。
- 大井
- 21年の教員時代を経て、コーヒー屋をオープンされたのが2015年の春ですね。どのようにコーヒーの道に入られたのですか?
- この続きは、Vol.3「私立珈琲小学校のはじまりを支えた仲間達」で!次回は8月19日(金)公開です。どうぞお楽しみに!
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