吉田先生流、人との向き合い方(Vol.4)
多くの人に愛され、慕われている私立珈琲小学校の吉田さんにお話を伺っているプレミアムコラム。Vol.4では、吉田さんが人と向き合う時に心がけていることを伺いました。
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- “いいところ”は、必ず誰にでもある
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- 大井
- 私は吉田さんにお会いする前から、吉田さんのお話をたくさんの方から聞いていました。「私立珈琲小学校っていうお店があってね、元小学校の先生がされていて、本当に素晴らしい人なんです」って。吉田さんはたくさんの方から慕われていたりファンも多いと思いますが、吉田さんが人と付き合う上で心がけていることはありますか?
- 吉田さん
- いえいえ、全然ないですよ。
- 大井
- では……人と向き合う時に、何を大事にしていますか?
- 吉田さん
- ……。
「年齢とか肩書きとか、そういうのが人を決めるんじゃない」というのはすごく思っています。もう教員じゃないけど、僕ら教員のスタンスで一番大事なのは“その子のいいところを見つける”ということなんです。これはたぶんどんな仕事でも一緒なのかな。
「今の若いもんは」って言ってたら、誰とも仕事できないですよね。誰にでも“いいところ”は必ずあって、それがない子はいないんです。基本的に人と向き合う時には、そういう風に考えています。
- 大井
- そうなんですね。実は私、両親が教師なんですけど……。
- 吉田さん
- おお!
- 大井
- 昔から父に「人の噂にだまされるな。目の前にいる人をちゃんと見なさい」とすごく言われていたんですね。
- 吉田さん
- すげぇいい先生ですね。
- 大井
- それが一番言われてきたことですし、いま仕事をする上でも、常にそれを心に留めています。やっぱり仕事をしていると人の噂は常に耳にしますし、例えば「あの人怖いらしいよ」という情報も時々入ってきて。そういう情報収集をすることは悪いことはないと思うんですけど、だからと言って「その人が怖い人とか悪い人だと決めつけてはいけない」と思っています。
- 吉田さん
- すげえいい先生!
- 大井
- ありがとうございます(笑)。吉田さんのお話を聞いていて私もそれを思いました。きっと吉田さんをビンタしてくれた先生も、噂や他の先生の情報に流されるのではなく、その先生自身がしっかり吉田さんを見て接しておられたんじゃないかなって。
- 吉田さん
- そうですね!じゃなかったらやってられないですよ。超悪い子だったから(笑)
- 大井
- その先生も、きっと吉田さんのいいところを見つけて、向き合っていたんでしょうね。
- 吉田さんが考える“いい子”とは
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- 吉田さん
- ちなみに、大井さんはなぜ先生にならなかったんですか?両親が先生だと、子どもはたいがい先生になりませんか?
- 大井
- そうですね……。私は今は結構、自由人していますけど(笑)、昔は“先生の娘だからいい子”と思われるのが好きじゃなかったんですよね。
- 吉田さん
- ロックですね。
- 大井
- 小学校の時は普通でしたけど、中学の時に市で一番大きな学校の生徒会長にたまたまなっちゃったんですよね。そしたら「いい子でいなきゃ」とすごく思うようになってしまって。当時は“先生の娘”っていうのが嫌だと思っていました。
- 吉田さん
- 俺も生徒会長だったんですよ。「会長のくせに」とか言われると「なんだと!」ってすごく思ってました。
- 大井
- そうなんですよ。でも大人になってみると、両親が教えてくれたことやそのときに得た責任感みたいなものは、生きていく上で大事なものだし、人としての基礎になる部分を両親がしっかり作ってくれたので感謝していますね。だからこそ、いいのか悪いのか、今はきちんとしてないところも多々ありますけど。(笑)
- 吉田さん
- いいことを教わっていますよね。さっきおっしゃっていた「噂に流されない」ってめちゃめちゃ大事だと思う。「自分の目で確かめなさい」って、一番正しいことですよ。
- 大井
- そうですね。逆に吉田さんにお伺いしたいのですが、その頃よく思っていたのが「いい子ってなんだろう?」ってことなんですよね。私は“いい子”と言われるのが嫌だったから、吉田さんはどういう風に考えてらっしゃるのかなって。
- 吉田さん
- 僕が思うに、本当にいい子というのは“自分で考えられる子”です。自分で考えて掴んだもの、悩んだこと、そして失敗したことはすべて自分の経験になりますからね。
- 大井
- なるほど……。
- 吉田さん
- たぶん大井さんのが「いい子と言われるのが嫌だ」と場合の“いい子”って、先生や大人にとっての“都合のいい子”ですよね。
- 大井
- そうです!!それです!!
- 吉田さん
- 都合のいい子は、その子もそう見られるのが嫌だろうし。
- 大井
- 自分で分かっているんですよね。「都合のいい子をやっているな」っていう。
- 吉田さん
- その状況に満足している先生がいたら教員も不幸だし、子どもたちも不幸だなと思いますね。僕は言うこと聞かない子がいると「面白いな、こいつ。こんな風に考えるんだ」って思っていました。
- 誰もが“誰か”から愛されている存在
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- 大井
- では、吉田さんは言うことを聞かない子が現れたとき、どうされていたんですか?締め付けずに自由にさせていたということですか?
- 吉田さん
- 21年間、僕の子どもの頃より悪い子はいませんでした。みんないい子でしたよ(笑)。それに子どもの前に立っていた時に思っていたのは、お店に立つ時もそうですけど……。
例えば今後、管を巻いたり嫌なお客さんが来るかもしれないですけど、「その一面で判断するのはやめよう」と考えているんですね。きっとその人にも家族や大事な人がいて、その人たちから愛されている人だろうって。子どもたちに対しても10年後、20年後「きっと俺よりドすごいやつになるに違いないだろう」と思って接していました。
- 大井
- すごい。
- 吉田さん
- そりゃそうですよね。自分を基準に考えたらとにかくダメだなって。「きっとこの子たちは俺より偉くなるに違いない」と。
- 大井
- 子どもでも一人の人間として、個人として尊重しているということですよね。
- 吉田さん
- 自分が大したもんじゃないですからね。そういう感じです。
- 大井
- いえいえ!!(笑)。素晴らしいお話をありがとうございます。
- この続きは、Vol.5「“出会うはずのない出会い”が生まれる場所を目指して」で!次回は8月26日(金)公開です。どうぞお楽しみに!
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