“出会うはずのない出会い”が生まれる場所を目指して(Vol.5)
私立珈琲小学校の吉田さんにお話をお伺いしているプレミアムコラム。Vol.5は吉田さんの今後の目標や、いま改めて感じるコーヒー店と学校の共通点と違い、さらに「吉田さんにとってのカフェとは?」を伺いました。
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- “出会い”を作る授業やクラブ活動を実施
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- 大井
- 今後の目標はありますか?
- 吉田さん
- 出会うはずのなかった人が出会う場所にしたいですね。学校もそうだと思うんですけど、その学校近くに親が住んでいて、その学校を選んで通って、初めて出会う。学校がなかったら会わない子たちですよね。この店もそういう場所にしたいなと思っています。
それを叶えるために、セミナーやワークショップなどの授業やクラブ活動、委員会活動をいっぱいしたいなって思っています。前の池尻大橋の時もそうだったんですけど、この場所も本当にいい条件でお貸りしているので、みんなに還元したいんです。
例えば、ここでショップのイベントをやりたい人がいれば使ってもらえるようにしたいし、「コーヒーと関係ないじゃない」って思えるようなものであっても、それはそれで新しい動きになるというか、いろんな人が出入りできる状況を作りたいなと思います。
- 大井
- 学校とコーヒー屋ではやはり似ているところがありますか?
- 吉田さん
- “人と向き合うこと”は同じだと思います。授業がうまいことは大事ですが、授業だけがうまい先生のクラスは、それはそれでうまくいかないんですよね。店もコーヒーが美味しいだけじゃ成り立たない。「あの店主に会いに行こう」「友達に会いに行こう」という雰囲気は店でも学校でも大事で、それが共通点かなと思いますね。自分はまだまだですが……。
- 大井
- 逆にこれは全然違うってことは?
- 吉田さん
- 教員は授業が下手でも教員になってしまえば給与が発生しますが、お店はコーヒーを淹れられなかったら給料がないので、それはシビアですし違うところですね。
- 大井
- それこそ私は両親が教員だったので、正直、社会でのお金の動きがよく分かっていないところもあって、そのあたりはどのように学ばれたんですか?お金の動きって教員をやってる時はないですよね。
- 吉田さん
- 全然ないです。勝手に税金はひかれるし、給与が振り込まれるのを待つだけなんで(笑)。ただ……僕は“お金の流れの法則”には縛られないようにしようと思ってます。
例えば、飲食店だと食べ物の原価が3割とか、そういうルールがありますけど、そういうのは全然関係ない。僕が好きな人が焼いた豆で好きなものを楽しんでもらいたい。そこで妥協して安いものを扱う気は全然ないし、トータルとして自分の明日のご飯が食べられたらいいという感覚でやるようにしています。もちろん、新しいパートナーもいるので、その人たちの給料を払った上の話ですけどね。払った上で、明日食べる三食が一食になっちゃってもそれはそれでいいじゃんって考えているんです(笑)。
- 大井
- 吉田さんは「自分よりも人のために」という方ですよね。
- 吉田さん
- でも、それもここの数年です。ポートランドに行ったり、周りにいる人たちがそういうスタンスなので、自分の消費傾向とかお金に関する感覚が変わったっていうか……その方がかっこいいなと思うようになったんです。
それに“美味しいものと美しいものが分かるが分かる人は幸福度が高い”という話を以前に聞いて、その通りだなと思ったんですよね。だからお金のヒエラルキーにとらわれないようにしています。
- カフェは、モノや人との“出会いの場”
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- 大井
- なるほど、わかりました。では最後に取材させて頂いている方みなさんに聞いている質問なのですが「あなたにとってカフェとは?」なんでしょうか?吉田さんにとってカフェとは?
- 吉田さん
- モノや人との“出会いの場”ですね。それは、美味しいものかもしれないし、素敵な人かもしれないし、空間かもしれない。出会いがある場所です。
- 大井
- 吉田さんが自身も、美味しいものや素敵な人、そして素晴らしい空間に出会ったことが今につながっていますよね。
- 吉田さん
- ほんとその通りです。
- 大井
- 今日は貴重なお話をありがとうございました!
- 吉田さん
- こちらこそありがとうございました!カフェっていうよりも教育談義みたいになりましたね(笑)。
- 大井
- 感動することがたくさんあってとても勉強になりました。ありがとうございました。
- 次回、9月2日(金)からのプレミアムコラムはCOFFEEHOUSE NISHIYAの西谷恭兵さんの登場です!どうぞお楽しみに!
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