原宿・パンケーキブームの先駆者(Vol.1)
CafeSnap発案者の大井がお話をお伺いしているプレミアムコラム。第20回目にお迎えするのは、原宿の人気パンケーキカフェ「uzna omom(ウズナ オムオム)」のオーナー、門崎杏子さんです。
パンケーキブームが起こる前の2004年に原宿でカフェを始めた門崎さん。当時、人気だったカフェスイーツとは全く違う“パンケーキ”をどこよりも早く打ち出した理由や、パンケーキへのこだわり、今なお続くブームについて伺いました。
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門崎 杏子さん
原宿のギャラリー&パンケーキカフェuzna omomオーナー。2016年夏、フォトジェニックで洗練された空間が魅力のb oneを本店近くに、そしてグルテンフリーなど体に優しい料理やスイーツが楽しめる3店舗目を駒込にオープン。2012年からは台湾へ進出し、原宿のパンケーキはもちろん、日本の食や文化を伝える人気店となっている。
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- 若さと情熱と勢いで始めた“自分にしかできないカフェ”
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- 大井
- 今日はよろしくお願いします。まずはuzna omomについて教えていただけますか。
- 門崎さん
- uzna omom は2004年の春に、私と姉の二人で、原宿のワンルームマンションを改装して作ったカフェです。ここb oneは、国内2店舗目になるのですが、本店とは目と鼻の先。すぐそばにあります。
- 大井
- 先日、本店に伺ったときは、本当にお家のようにアットホームな雰囲気でした。もともと始められたときはどんなコンセプトだったのでしょうか。
- 門崎さん
- 当時、姉は東京芸術大学に通っていて、周りに物を制作する人が多かったので、“みんなが集まる場所を作りたい”と思ったのと、“それらを発表できて、社会と接点になるような場所を作りたい”と考えていました。
当時は私も若かったし、ほとばしる勢いがあって、「自分たちしかできないことを、できることからやってみようやってみよう!」と、ちっちゃいお店ながら、情熱と勢いでスタートしたのが始まりです。
- 大井
- uzna omomというのは変わった名前ですが、どのようにつけられたのですか?
- 門崎さん
- 逆さから読んで頂くと、「momo anzu(もも あんず)」になりますよね。私の名前が杏の子で杏子。姉が桃子。だから“桃子と杏子のお店”という素朴な名前なんです(笑)
もうひとつは「桃李言わざれども下自ずから蹊を成す(トウリモノイワザレドモ シタオノズカラ ミチヲナス)」という、中国の古いことわざがあって。それは「桃や李(すもも)の木はとても香りがいいので、何も言わなくても自然と木の下に人が集まって、道ができる」という意味。そのことわざのように、「ここに人が集まって、食や文化に関する道を作っていけたら」という願いを込めて付けました。
- 大井
- ピッタリですね! ちなみにお店を始められた2004年は、原宿はどのような感じだったのでしょうか?今と違いますか?
- 門崎さん
- 最近はかなりビルが増えてきましたが、当時この辺りは住宅街で、少し行ったら表参道・渋谷のような商業地域がある。住宅地と商業エリアが隣接しているので、日常と非日常が融合しているようで、そんな街の雰囲気がいいなと思っていました。
- 絶対的な確信があった“パンケーキ”
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- 大井
- uzna omomの看板メニューといえば、パンケーキですよね。uzna omomは原宿のパンケーキブームが来る前から出されていたと聞きましたが……。
- 門崎さん
- そうですね。私たちが始めた当時、原宿でパンケーキをやっているところはありませんでした。
- 大井
- パンケーキに注目したのはなぜですか?
- 門崎さん
- お客さんである芸大の人達は、それぞれ物作りをしていたので、メニューを考えるにあたって“人の手が加わること”と“温度感があること”は私の中ですごく重要でした。だからまず、“温かいおやつ”がいいなと思ったんです。
作り立てで、湯気が見えて、作っている時に香りがある……そう考えていった時に「パンケーキがいいな」と。それに本店はお家を改装しているから、昔、お母さんが作ってくれた懐かしいおやつにしたいという想いもありました。
- 大井
- 他に温かいスイーツの候補はありましたか?
- 門崎さん
- クレープとワッフル(笑)。
- 大井
- どちらも原宿でブームになりましたよね(笑)。“温度がある”、“人の手が加わっている”というのを大事にしているのはどうしてですか?
- 門崎さん
- カフェを始めた時に、自分のカフェが「人と人とがつながる場所になったらいいな」と思っていたので、“温度”や“ライブ感”のようなものが必要だと感じていました。それがないとお客さんとの関係が薄くなるし、「繋がらないな」という感覚があったんです。
- 大井
- パンケーキはすぐに人気メニューになったんですか?
- 門崎さん
- いえいえ!パンケーキを出しているカフェは原宿で一軒もなかったのでその頃は、お水まで出したけど「この店、パンケーキしかないんだ」と、帰られるお客さんも結構いました。
- 大井
- そうなんですか!
- 門崎さん
- 「パンケーキはナシなのかな……」と凹んだ時期もありましたけど、それでもやっぱり“焼いている時の香りが立ち込める、温かいおやつ”への確信があったので、「もうちょっと負けずにやってみよう!」という情熱で続けましたね。
- 大井
- そのあと、2010年頃から“空前のパンケーキブーム”がやって来ましたよね。その時はどう思われましたか?
- 門崎さん
- Eggs 'n Things(エッグスンシングス)とbills(ビルズ)が原宿に上陸した時はびっくりしましたね。でも、「海外の人気店と文化が流行っている」という印象だったので、ブームも徐々に落ち着いていくかなと思っていたのですが、どんどん広がって、メディアでも取り上げられるようになりました。
最初はEggs 'n Thingsやbillsのように大手で分かりやすいところを紹介されていたんですけど、その認知度が上がると今度は個人店に声がかかるようになって、うちの店もパンケーキ特集に何度か出させていただきました。特にうちはワンルームを改装して作っていて雰囲気もアットホーム感がすごくあったから、取材も多かったですね。
- 大井
- パンケーキを目当てにお店を訪れる人は増えましたか?
- 門崎さん
- そうですね。原宿は観光地でもありますし、全国からお客様が来ていただけるようになりました。一瞬のブームだと思っていたパンケーキが、あっという間に日本に浸透した、という印象でした。
- この続きは、Vol.2の「パンケーキが原宿を代表するスイーツになった理由」で!次回は10月18日(火)公開です。どうぞお楽しみに!
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