厳しい修行時代に学んだこと、いまバリスタを目指している人へ(Vol. 4)
GLITCH COFFEE&ROASTERSの代表とCafeSnap大井の対談vol.4。今回は、鈴木さんのバリスタ修行時代のこと、そしていまバリスタを目指している人に伝えたいことを伺いました。
-
- 大井
- コーヒーを仕事にすることになって、最初に入られたデルソーレで学んだことは多かったですか?
- 鈴木氏
- 多いですね。ホールで学んだことも多いし、そこでは厳しさと基礎を多く学べたと思います。お客さんが飲み終わった後のカップとスプーンを洗うときに、単純に洗っていると「お客さんが何のドリンクを頼んだのか見てないだろ!」って言われて。それ1日目ですよ(笑)
- 大井
- えー!
- 鈴木氏
- そのあと、入ったのがカルディの豆を焼いてるキャメル珈琲なんですが、そこも厳しかったですね(笑)
みんな優しいんですけど、トップの人がすごく厳しかった。実は、トップの人に、すごいいじめられて(笑)。でも「教えてほしい!」って食らい付いていったんですよね。自分は何も分からないから「イチから全部教えてほしい」って言って。
そしたら、いつもテストを出されて。10種類くらいある豆を並べて、「鈴木、これ、どの豆が何か、次来るときに全部判断できるようにしとけよ。わかんなかったら、お前クビだよ。」って。
- 大井
- へぇ~!
- 鈴木氏
- 次の週にテストしたら全部当たって「やったー!」って喜んだんですけど、その人は、遠くから見ただけでも分かるんですよ。「ちょっと、やってみてくださいよ」って俺が言うと、ちょっと遠くから見て、本当に全部当てるんですよ。「すごい!!!」って思って。ほんとすごかったですよ(笑)
「コーヒー馬鹿はどうにもなんねぇから、鈴木はうちにはいらねぇ」と言われたこともあるんですけど、たまに優しいからちょっと感動するんですよね。
- 大井
- アメとムチじゃないですか!
- 鈴木氏
- そうそう。普段はすごく厳しいのに、たまにふらっと自分のところに来て「お前、今度の土曜日空いてんの?」って。「え、どうしてですか?」って聞くと「焙煎工場行くぞ」って言われて。「うおぉぉぉぉ!!!」みたいな(笑)
- 大井
- (笑)
- 鈴木氏
- そういう感じで、たまに言ってくれるんですよ。
そのときにバンバン質問しましたね。「味はどうやって取っているんですか?」って。そしたら、「毎日ごはんを食べるときに考えろ」って言われて。それはすごい勉強になりましたね。
- 大井
- 毎日ごはんを食べるときに考えろ……?
- 鈴木氏
- 毎日ごはんを食べるときや、色々なごはん屋さんに行ったときに「昨日のごはんと比べて、今日のごはんはどうなんだ」というのを考える。絶対味が違うから。「昨日よりもちょっと水分量が少ないし、パサパサしてるなーとか」そうすると、それだけでも勉強。毎日勉強ですよね。
食べるときは常に「このハンバーグには中に何が入っているんだろう?」とかイメージしながら食べる。それをただ「あぁー美味しかった」って何も考えずに食べているのと、中身を考えて食べるのでは大違いで。「一日一日、いろんなことを考えて、口の中で味を表現しなさい」って教わりました。何を言ってるんだろう、と最初は思いましたけどね。(笑)
- 大井
- 日々の積み重ねですね。
- 鈴木氏
- そうですね。
- 大井
- これからバリスタになりたいっていう人も、いま増えてきていると思うのですが、大先輩として、バリスタになるためにはどんな力が必要だと思いますか?
バリスタになるためには…(沈黙)イメージを形にすることですよね。
- 大井
- イメージを形にする……
- 鈴木氏
- 自分の夢っていうのを一回描いて、それをちゃんと形にしていこうと思ったら形になると思うんですよね。その人の自分の目指すバリスタ像があるじゃないですか。そういうイメージしたものを作り上げて目指す。そういうのは、大切だと思いますね。
- 大井
- 夢とか目標とか、理想とか……、そこを最初に定めることが大事ですか?
- 鈴木氏
- そうですね。でっかい夢を持つのが一番いいと思いますね。「お店をひとつ出すぞ」じゃなくて、「バリスタになるぞ」じゃなくて。それって誰でもできちゃうんですよね。面接受かれば。
それだけじゃなくて、そこのお店でNO.1になるとか。最低でも。バリスタ業界を持ち上げる存在になる、とか。そういうところまでイメージしてやらないと、普通にバリスタなんてできちゃう。名ばかりのね。
- 大井
- これからバリスタになりたいと言う人は、どういう修行をしたらいいですか?
- 鈴木氏
- いいバリスタになるためには……まずはお店に入らないといけないですよね(笑)。やっぱり機器がちゃんと揃っているところに入るのが一番です。変な機器があるところに入っても、そこから妥協点が増えてしまうので。ここのお店みたいに機器が揃っているというのはすごく大切ですよね。
そういう店に入るために絶対必要なのは、“店舗貢献度”だと思うんですよ。この店は、日本に貢献するためにどうしたらいいのかを考えて“コーヒーでしか貢献できないから、コーヒーでなんとか日本に貢献しよう”って考えていて。
お店に貢献しない人は、コーヒーを教えてもらえないと思うんですよね。いま、スタッフの募集をすると「コーヒーだけ教えてください」って言う人がどの店にもやって来るんですけど、そういう人は逆に必要じゃないですよね。
- 大井
- へぇ~!
- 鈴木氏
- 学校じゃないですもん。
- 大井
- では、いま鈴木さんと働いているスタッフさんは、店舗に貢献してくれるだろうと思われて、採用されたんですか?
- 鈴木氏
- そうですね。それと、この子はコーヒー以外でどんな風に動くだろうって。バリスタ、プラスアルファで何かできないといけないと思っていて。
例えば、小坂田くん(※)だったら、バリスタプラス、人と音楽を繋げたい、とか。バリスタという職業を続けながら、自分で他にやりたいことを叶えられるスタッフが必要だと思っています。(※ GLITCH小坂田祐哉バリスタ)
- 大井
- コーヒーと一緒に自分の夢を叶えていく、そういう目標を持っている人をとっている?
- 鈴木氏
- そうですね、前進できるような人。
- 大井
- 前進できるような人。なるほど。ちなみに、美味しいコーヒーを淹れるためには、バリスタとしてどんな経験や知識が必要だと思いますか?
- 鈴木氏
- 美味しいコーヒーを淹れるためには……日々精進することですかね。
- 大井
- (笑)
- 鈴木氏
- 美味しいコーヒーを淹れるためには、日々精進。そして、まずは全部固定概念を壊して、色々なコーヒーに触れてみるというのが絶対大切だと思います。自分の店だけでなく、他のコーヒー屋さん、海外のコーヒー屋さん、色々なコーヒー屋さんを飲んで。
そうすると、そのうち美味しいコーヒーが淹れられるようになる。“美味しい”っていうのが、“どういう方向で美味しいものなのか”が分かってくる。
- 大井
- なるほど。鈴木さんにとってコーヒーはどういう存在ですか?
- 続きはVol.5で! 次回更新は10月2日(金)です。>>
注目トピックス
新着の投稿
新着まとめ
地域を選択する