“コーヒー界のアップル”から“ホスピタリティのブルーボトルコーヒー”へ(Vol.3)
ブルーボトルコーヒーのトレーナー、藤岡響さんにお話を伺っているプレミアムコラム。Vol.3は、スタッフや店内の雰囲気からも感じ取ることができるブルーボトルのホスピタリティについて。
お客様だけでなく、スタッフ間でもホスピタリティを重視しチームワークを大切にしているブルーボトル。日米のバリスタが参加して開催された“ホスピタリティサミット”についてもお聞きしました!
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- お客様だけでなく、スタッフ間でもホスピタリティを重視
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- 大井
- 2015年に日本に上陸したとき、ブルーボトルは“コーヒー界のアップル”と呼ばれていましたよね。この一年、店舗が増えたことで、私自身お店を訪れる機会も多くなったのですが、お店に行くと、いつも親切で笑顔のバリスタがコーヒーを淹れていて、店内に入るとホッする、個人経営のカフェに近い雰囲気のお店だなと感じるようになりました。
“コーヒー界のアップル”というよりかは“ホスピタリティのブルーボトル”。そんな印象が個人的には強くなったのですが、ブルーボトルではどうしてあの雰囲気が作り出せていると思いますか?
- 藤岡さん
- まずバリスタ自身が楽しんで、バリスタ同士がいいコミュニケーションをとっていないといい環境は生まれないと思うんですね。ホスピタリティという点では、お客様に対してもそうですが、スタッフ間のホスピタリティやチームワークを大事にしています。
- 大井
- 元々スタッフはバラバラに入ってくるわけじゃないですか。なぜいいコミュニケーションが生まれるようになるのでしょうか。
- 藤岡さん
- 年齢やキャリアに関係なく、どのバリスタでも美味しいコーヒーの定義をしっかりと理解してもらった上で店舗に立ちますので、「ここはこうしたらいいんじゃないか」という改善点があった時はお互いに言い合える状態、それがいいお店を作る上で大事なんじゃないかと思います。
- 大井
- そこもコミュニケーションがきちんとできているからこそできることですよね。
- 藤岡さん
- 難しいところではありますけど、常にフィードバックをし合うことにチャレンジしていますね。そのひとつに、毎朝必ず、バリスタ同士でコーヒーのディスカッションをしてもらっています。
その他には、入ったばかりのバリスタでもサポートした上で、味の調整にチャンレジしてもらっています。自分で考えて試行錯誤しながら、仲間と一緒に成長していけるところがいいんじゃないかと思います。
- 大井
- ホスピタリティとチームワークが自然と生まれる環境が作られているのですね。
- 藤岡さん
- ブルーボトルで“ホスピタリティ”はとても重要なので、日米で“ホスピタリティサミット”を開催したこともあるんです。
- 大井
- ホスピタリティサミット!それは何ですか?
- 藤岡さん
- ロサンゼルスやニューヨーク、サンフランシスコ、日本など全ディビジョン(エリア)からホスピタリティが優れているスタッフを選出して、ホスピタリティについてディスカッションするという会です。日本でもこれまでに三回くらい開催しました。会議室を貸し切って、どういう体験やサービスがお客様にとって大事な体験なのかをみんなで話し合いました。
- 大井
- 海外のホスピタリティと日本のホスピタリティはきっと違いますよね。どんなところが違いましたか?
- 藤岡さん
- それは僕がアメリカに行って感動したことですが……ブルーボトルのホスピタリティは、日本のバリスタが考えるてることと、アメリカのバリスタが考えていることで差がなかったんです。
実際、アメリカのブルーボトルに行った時、どの店舗に行っても、笑顔でいい対応をしてくれるんですね。やっぱりそれがいいなと思いましたし、素晴らしい体験に繋がっていくんだと思います。
僕もアメリカの店舗でコーヒーを淹れさせてもらったんですが、他のバリスタがしっかりサポートをしてくれたり、以前日本のオープン時にアメリカからトレーニングで来てくれたバリスタがわざわざ店舗まで会いに来てくれたり、とにかく温かみのある人たちが多いですね。
- ブルーボトルの3つのポリシー
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- 大井
- 先ほどあがったホスピタリティを含めて、ブルーボトルには3つのポリシーがあるそうですね。それも教えていただけますか?
- 藤岡さん
- “ホスピタリティ”、“デリシャスネス”、“サステナビリティ”の3つですね。“ホスピタリティ”はこれまでも話してきたように、簡単にいうと“おもてなし”ですね。美味しいコーヒーを提供するだけではなくて、感動の体験をしてもらうためには、いろんなタイミングで提供すべき様々なホスピタリティがあると思います。
ホスピタリティは本当に難しくて、答えがないんですよね。正解かは人それぞれですが、自分がお客さんになった時にお店を訪れて、どのような体験だったら嬉しいか、残念かをしっかり考えてもらっています。
- 大井
- “デリシャスネス”はいかがですか?
- 藤岡さん
- “デリシャスネス”は美味しさです。美味しいコーヒーを提供するには徹底した品質管理と抽出のテクニックが必要ですし、鮮度も重要ですよね。美味しく作った瞬間に楽しんでもらわないことには、その美味しさは伝わらないので、コーヒーも焙煎されてから室温を的確にコントロールして管理しています。豆を挽き売りしないというのも、デリシャスネスのためのこだわりですね。
- 大井
- 3つめの“サステナビリティ”は持続性ですね。何に対する持続性でしょうか?
- 藤岡さん
- 色々なことがありますね。例えば焙煎機はエネルギーをすごく消費するので、できるだけエネルギー消費が少ない完全熱風式のものを使っています。それからコーヒーショップは多く包材を使うので、ゴミもたくさん出ますが、うちで使っている包材はすべて土にかえる素材でできています。こうした環境に配慮した取り組みにはすごく魅力を感じています。あとはもちろんコーヒー農園に対するサスティナブルな取り組みも多くあります。
- 大井
- 店舗や商品に3つのポリシーはしっかり反映されているのですね。
- この続きは、Vol.4の「ブルーボトルのこだわりとチャレンジ」(https://cafesnap.me/talk/163)で!次回の公開は1月6日(金)です。どうぞお楽しみに!
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