悔しい思いをエネルギーに(Vol.3)
SOL'S COFFEEの荒井利枝子氏との対談Vol.3。今回は、荒井さんが若くして起業されたことで経験した苦労や、それをどう乗り越えてきたかをお伺いしました。
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- 大井
- 女性の起業家として、大変だったことはありますか?
- 荒井氏
- 大変だったことは……私は22歳で自営業を始めたので、よく「お父さんにいくら出してもらったの~?」とか聞かれて(笑) 別に出してもらってないし、自分たちで借金してやっているのに、そう言われた時はすごい悔しかったです。あと「社長は誰? 話の分かる人いないの?」と言われたことは、よくありましたね。
- 大井
- それはどういう時に言われたのですか?
- 荒井氏
- 例えば取引の時ですね。牛乳とか、大きい商材のものとか。基本的に無名で、若すぎたのもあるんですが、メール一通まともに打てないような状態だったので、かなり苦い思いをしましたね。
その分、「若くて頑張っているから応援してあげよう」と、色々な方が教えてくださったり、挑戦する機会を与えてくれる方が増えてきて、「その期待に応えたい!」という気持ちで、頑張ってこれました。
- 大井
- “悔しい思い”をしたから、その分“もっと頑張ろうというエネルギー”に変えられたんでしょうか?
- 荒井氏
- そうですね。とにかく、認められたかった。そのために「まず、話を聞いてもらうためにはどうしたらいいんだろう?」と考えて、例えば「普段はニコニコしてるのにスイッチ入ると思ったよりもちゃんとしてるね!」と思われるように努力していたり。意外と思いだけではなく、数字でデータ化したり、挨拶やメールはしっかりお返ししたり、とにかくただの若いノリでやっている子達ではなく、大人が当たり前にやっている「仕事」を当たり前にちゃんとするよう目指しています。
- 大井
- 他に努力されたことはありますか?
- 荒井氏
- 飲み会に参加する(笑)
- 大井
- (笑)
- 荒井氏
- 今の私があるのは、たぶん飲み会のフットワークの軽さのおかげだと思いますね(笑)
- 大井
- へー
- 荒井氏
- あとは、素直に話を聞くとか。「若い子って話ちゃんと聞かないよね~」ってよく言われてましたけど。
- 大井
- うんうん。そしたら段々と味方が増えてきたりとか、教えてくれる人が増えてきた?
- 荒井氏
- そうですね。時々は理屈っぽくなってしまったり、不安な時には尻込みしたり、二の足踏んだりすることもあるんですけど、とりあえず、きたチャンスには「YES」といって、期待された成果をちょっとだけ越えられるように頑張っています。それ、結構大変なんですけどね(笑)
でも20代30代の前半はすごく頑張って、後半は人生楽したいなと思っていて(笑)ずっと先は、悠々自適に生きていきたいので、今のうちにかけずり回っておこうかなと思っています。「若いうちは買ってでも苦労しておけ」じゃないですけど。
- 大井
- もともとは移動販売から始められて、一店舗目が新小岩。その後、蔵前に移動されていますよね? 最初のころは、大変な時期があったと伺いましたが「もうやめたほうがいいかな……」と、思ったことはありましたか?
- 荒井氏
- ありました……。最初に新小岩にお店を作ったんですけど、例えば冬は雪で人が来ない日があったんです。そんな時は、一緒に始めた友人が、「このままお客さんが来なかったら、もうやる意味ないよ……」と弱気なことを言ってたんですよね。
でも私はその時に「まだ自分にはやってみたいことが沢山あるから、全部やりきってからじゃないと絶対後悔する。だから、絶対続ける!」と思っていました。もっとこうしたほうがいいんじゃないかとか、まだまだやれていないことが沢山あったので。
正直、「コーヒー屋は3年くらいたったら人に任せて自分は違うことしよう」と思っていたんですね(笑)ただ会社は、絶対意地でも10年続けようと思って始めていて。コーヒーは3年くらいやって、上手くいったら誰かに任せたりできるかなと思っていたんですけど、全然上手くいかなくて、自分でやってみたい方向というか、コーヒー屋でやってみたいことが新たにたくさん出てきました。
例えば、オリジナルのコーヒー器具を作ったり、うちのスタッフをコーヒー関連の大会に出場させるとか。あと、元々英語が大好きで熱心に勉強していたので、コーヒー豆の産地に行ってみたいですね。やってみたいことがまだまだ沢山あるので、しばらくは辞められなさそうです。
- 大井
- どの領域もそうかもしれませんが、やればやるほど深いことに気づくというか。
- 荒井氏
- そうですね。実際にコーヒーの自営業を始めたときに、いわゆる巷で言われている常識と、コーヒー豆の産地の実態のギャップに衝撃を受けて。産地では、どういう人たちが農園を持っているのか、とか……。「スタイルだけでやってはいけない職業だな」と思ったんですね。でも、まだ書物だったり、又聞きでしかないので、いつか実際現地を見に行って、自分の目で確認したいです。もっとよくするために、自分に何かできることがあるかもしれないですし。楽しくて、みんなが笑顔になる方法で、コーヒーの為に何かしたいと思ってます。
- 続きはVol.4「コーヒーを売る経営者として」で!荒井さん流の経営学を伺っています。次回更新は、10月13日(火)です。お楽しみに!
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