奥深いブレンドコーヒーの魅力(Vol.1)
CafeSnap発案者の大井がお話をお伺いするプレミアムコラムは今日から第8回目を迎えます!今回登場いただくのは福岡県・原田(はるだ)にある「〜おいしい珈琲の店〜 R's cafe」のコーヒーマスター、ヒラツカクニアキさんです。地域のお客様や、コーヒー好きの人々に愛されているR's cafe。写真家としても活動されているヒラツカさんにカフェのこと、コーヒーのこと、ご自身のこと、写真のことを伺いました。
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ヒラツカクニアキさん
「〜おいしい珈琲の店〜 R's cafe」のコーヒーマスター。コーヒー豆が持つ素材の魅力をそのまま活かすように、コーヒーを丁寧に抽出。2016年には写真家として初の写真展「霧の森に入る」を福岡・薬院のセレクトショップ「SOMEWARE」にて2月末まで開催。1日1日の移り変わりを感じながら、コーヒーや写真に日々向き合っている。
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- 大井
- 今日は宜しくお願いいたします。まずR’s cafeについてお伺いいたします。どんなお店か教えていただけますか?
- ヒラツカさん
- もともとはバイク好きのオーナーの、バイクギャラリーに併設した町の喫茶店です。R’sのRは、オーナーの良一さんの名前に由来しています。僕はその中でコーヒーを担当。コーヒーにあうケーキも作っています。
- 大井
- どんなお客様がいらっしゃるのですか?
- ヒラツカさん
- この町の方、電車や車を使って来られる方、年配の方から若い子、お子さん連れのお母さんもいらっしゃいます。幅広い人が来てくれるので、普通に生活していたら関わらない年齢層の人たちと話ができて楽しいですね。
R's cafeがある原田駅は、博多から20分ぐらい離れていることもあって、都会のカフェとは少し違っているんですよね。ここに来る人はゆっくりしてくれる人が多い。平気で1時間、2時間座って、コーヒーを飲みながらケーキを食べて本を読んでいってくれるんです。「そういう時間の使い方っていいな」って見ていて思いますし、そういった時間の使い方を“この空間”でしてくれるのは嬉しいですね。
- 大井
- お店の名前に「おいしい珈琲の店」と入っていますね。どのようなコーヒーを提供されていますか?
- ヒラツカさん
- うちはブレンドが3つあります。スイートブレンド、メローブレンド、ストロングブレンド。大まかには、浅煎り、中煎り、深煎りと焙煎具合が違うのですが、それぞれ華やかさがあったり、バランスを重視していたりと、特徴のあるブレンドになっています。
- 大井
- ブレンドが3つというのは珍しいですね。
- ヒラツカさん
- うちはシングルオリジンの豆の名前を言うお客さんは少なくて、「ブレンドコーヒーください」って言うんですよね。だから、馴染みのあるブレンドをメインにしています。
もちろんコーヒー屋としては、豆の個性のひとつひとつを知ってほしいですけど、いきなり難しいことを言ったり、興味ない人にそれ伝えても伝わらないじゃないですか。だから、まずは「カップに入っているコーヒーを美味しいと感じてもらえたらそれでいい」と思っています。
- 大井
- お客さんに喜んでもられることが一番ですよね。ヒラツカさんのコーヒーを昨年初めて飲ませていただいて、今回は2回目ですが、私はすごく好きな味なんですよね。甘くて、優しい味がする。すごく美味しいと思いました。
- ヒラツカさん
- フレーバーと甘さは誰にでも伝わりやすいですよね。温度が下がったときに、コーヒーに甘さがあると心地がいいじゃないですか。一番最初に口に入れた時のフレーバーの印象と時間がたった後の甘さは、おそらく好みに関わらずみんな好きだと思いますし、素材の良さがでるところでもあると思うんです。だからそこは意識して、強調というよりも“そういうコーヒー”になるように信頼するロースターに仕上げてもらっています。あとは、できるだけアフターテイストがきれいになるように、いらない微粉を取ったり、ハンドピックを念入りにしていますね。
- 大井
- ブレンドの魅力はどんなところだと思いますか?
- ヒラツカさん
- ブレンドコーヒーは、味の幅が広くて、ストライクゾーンを増やせるんですよ。うちのお客さんはコーヒーだけ飲む人と、コーヒーとケーキを一緒に楽しむ人、食後にコーヒーを飲む人がいらっしゃるので、人によって抽出でコーヒーを変えられるんです。
- 大井
- なるほど。
- ヒラツカさん
- そういう応用が利くのはブレンドの魅力かなと思います。もちろん、そこに至るには僕自身、ブレンドされている豆の素性を知って、そこから展開させていくわけですが、そういう奥深さや柔軟性のあるところがブレンドコーヒーの強みだと思います。ブレンドは面白いですよ。
- 大井
- どのように抽出具合を変えているんですか?
- ヒラツカさん
- 好み、嗜好にもよりますが、砂糖やミルクいれる方の場合はコーヒーが調和するようにボディ感を出します。ケーキと一緒の方は、コーヒーに合うようにケーキを手作りしているので、ブレンドの特徴を最大限引き出すようにしています。あと、食後の方には、なるべくあっさり淹れるとか。
- 大井
- ヒラツカさんはケーキも作られているんですよね?
- ヒラツカさん
- はい、ケーキは僕が手作りしています。以前、ケーキは専門店から仕入れていたのですが、ある時、コーヒーとケーキが合っていないと気が付いて。自分がコーヒーの味を分かっているんだったら、その相乗効果を生むようなケーキを作りたいなと。手作りだったらできますもんね。だから、僕がつくるケーキは、コーヒーありきのケーキなんです。
- 大井
- ケーキを作る事と、コーヒーを淹れる事は違いますか?
- ヒラツカさん
- 同じといえば同じだけど、違うといえば違いますよね。僕はそんなに難しいお菓子を作らないからかもしれないですけれど……なんとなくお菓子の味はできる前に予想が付くんですよね。よい素材を使えば味もまとまっていくし。
だけどコーヒーの味は予想がつかない。一番長い時間をかけてやってきているんですけどね、その点では違いますね。「手のかかる子だなー!」と思います。(笑)
(大井)手のかかる子……(笑)可愛い表現ですね。ちなみに、ヒラツカさんご自身はどんなお子さんだったんですか?
- この続きは、CafeSnap内のプレミアムコラム記事「Vol.2 コーヒーと人間の“合間”を目指して」にて公開しています。ぜひCafeSnapでチェックしてみてくださいね!
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