“コーヒーの旅”の始まり(Vol.3)
福岡・原田にある「〜おいしい珈琲の店〜 R's cafe」のコーヒーマスター、ヒラツカさんにお話をお伺いしているプレミアムコラム、Vol.3。ヒラツカさんコーヒーの楽しさを知ったのは実は、R’s Cafeで働き始めた後だったそう。どんなことがきっかけでコーヒーの旅が始まったのでしょうか。
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- 大井
- 子どもの頃からのお話を伺ってきましたが、コーヒーに出会ったのはいつぐらいですか?
- ヒラツカさん
- 学生の頃から缶コーヒーを飲んだり、チェーンのコーヒーショップに行ったりはしていましたね。「ただコーヒーが好きで」というわけでなく、なくなんとなく飲んでいました。スペシャルティコーヒーに出会ったのはこの店で働き始めて、しばらくしてからです。
もともと18歳のころから飲食店でバイトしてたんですけど……大学3年ぐらいからつけ麺屋でバイトを始めて、そこからちょっと変わった道を歩み始めるんです。
そのバイトしていたつけ麺屋が性に合ったのか、2年間働いた後にそのままその店の店長になったんですよ。ただ、僕は4年で大学を卒業できなかったので、学生をしながら店長をしていた時期がありました(笑)
- 大井
- それ、やばくないですか!?
- ヒラツカさん
- 相当やばかったです(笑)朝、一限の授業にでて、昼からお店を開けないといけなかったので、授業が終わったら原付を飛ばして、昼の準備をして、お店をあけて、夜1時まで働くという……。
- 大井
- すごいですね……。大変だったのに続けられたのはなぜですか?
- ヒラツカさん
- 楽しかったんですよね。そこはカウンターが8席ぐらいのつけ麺屋だったんですけど、仕込みも出汁取りも全て一から。全部お客さんの目の前で作って、目の前でお客さんが食べて「美味しい!」って言ってもらえるリアクションが嬉しかったんでしょうね。
丁度、僕が店長になったぐらいの時は、つけ麺ブームが始まった頃だったので、売り上げもぐんぐん伸びて、異例の成績を残したこともありました。ただ、人気がでるにつれて、一つのお店だけじゃまかなえなくなって、店舗を拡大していくことになったんです。で、このR’s Cafeからすぐのところにも新しい店舗を出すことになって。それがこの街に来たきっかけです。
- 大井
- へ~!!そうなんですね!
- ヒラツカさん
- 最初は「この町、なんもねーな」って思ってたんですけど。(笑)引っ越して初めて来た店がここだったんです。僕がこの店に来るようになって、ここのオーナーも自分の店に来てくださって。
その頃、つけ麺の店はチェーン化にともなって、味の統一をしないといけないから、今まで自分達で作っていたものが会社から送られてくる食材に変わったりして。そうすると味も落ちていくし、このやり方は嫌だなと思っていたときに、オーナーから声かけてもらったんです。「ちょっと色々やりたいから、興味あったらうちに来ない?」と。
そこからカフェやコーヒーの世界に入りました。だからそれまでは、全然知らなかったですよ、コーヒーの世界がこんなに面白いんだって。
- 大井
- コーヒーについて教えてくださったのは、オーナーさんですか?
- ヒラツカさん
- 最初は教えてもらって、そこからは色々と自分で研究しました。というのもその時、この店ではスペシャルティコーヒーを扱っていなかったんですよね。自分も初めの頃はスペシャルティコーヒーのことは知らなくて「美味しいコーヒーってこんなもんかな」ぐらいに思っていました。
でもある時、2010年かな、「Casa BRUTUS(カーサブルータス)」という雑誌があるじゃないですか、これを買って……。あ、まだ持っていますよ。
- ヒラツカさん
- 中を見たら色々あるわけですよ! 知らなかったコーヒーの世界が! 「サードウェーブ」という言葉も、「コーヒーの酸はネガティブじゃなかったんだ」ってことも、その時初めて知りました。
読んでみたら「こんなことがコーヒーの中にあるの!?」ってことが書いてあって(笑)あるんだったら体験してみたいと思って、載っているコーヒーをかたっぱしから注文して飲んだんですよ。
その後もコーヒー店に行って、先輩方からいろいろ話を聞いて。調べれば調べるほど「こんな世界があったんだ」って。産地のことも知っていくと面白いじゃないですか。
「美味しいって当たり前に作られているわけじゃないんだ」って知ったら、どんどんはまっていきましたね。
僕は料理の経験はあったから、自分がとる出汁の味が毎回少しずつ違うことは知っていたんですけど、その原因は“素材”というより、“自分の腕”だと思っていたんです。素材まで落とし込んでいなかった。だから余計に面白いと感じましたね。
- 大井
- そこから“コーヒーの旅”が始まっていくんですね。ヒラツカさんにとって、美味しいコーヒーはどういうものだと思いますか?
- ヒラツカさん
- 美味しいコーヒーって、いろんな視点がありますよね。カッピングのスコアで点数の高いものもありますけど……。僕は……「素材の味がちゃんとでているコーヒが一番いいな」と思います。豆を焼く人や淹れる人が、そこまでコーヒーが作られてきた工程や気配をちゃんと汲んでカップに落としているコーヒー。そういうのが好きですね。
- この続きは、2月19日(金)公開予定の「Vol.4 コーヒーマスターの写真論」で!どうぞお楽しみに!
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