コーヒーマスターの写真論(Vol.4)
福岡・原田にある「〜おいしい珈琲の店〜 R's cafe」のコーヒーマスター、ヒラツカさんにお話をお伺いしているプレミアムコラム、Vol.4。写真家としても活動されているヒラツカさんに、写真に対する想いやコーヒーとの共通点を伺いました。
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- 大井
- ヒラツカさんはこの1月に写真展も開催されていましたよね。写真はどのタイミングではじめたんですか?
- ヒラツカさん
- 本格的にのめりこんだのは二十歳ぐらいの時ですね。その頃は音楽もやっていて、要は……「自己表現の方法を探してた」んですよね。でも、音楽は続けていくうちに、あるじゃないですか、「才能ないなー」って分かっちゃうとき(笑)表現したいのに、自分の能力がしたいことより下回ってて、それにいらいらしちゃって。
それで絵を描こうと思ったんですけど、それも基礎がないから全然上手くかけなくて。苦しんでいたときに出会ったのがカメラでした。僕は、バンドをやっていたから、友達や先輩のバンドの写真を撮る機会も多くて、そのとき自分でも「いいな」って思えるものが撮れたので、そこから表現活動として写真を選ぶようになりましたね。
- 大井
- では、大学生の時からずっと続けているんですか?
- ヒラツカさん
- 社会人になって、忙しすぎて一度辞めていた時期があったんですけど、いまの仕事になってから、少し余裕もでてきて「また写真やろうかな」と思った頃に、ちょうど豆を焼いてくれているロースターさんが一眼レフカメラを安く譲ってくれたんです。それでまた写真を始めましたね。
- (撮影:ヒラツカクニアキ)
- 大井
- ヒラツカさんの写真は、白黒が多いですよね、それはなぜすか?
- ヒラツカさん
- それこそ最初はハイコントラストで白と黒がバキッと分かれてる写真がカッコいいなと思って白黒にしてました。でも最近は……本当は様々な色が見えているのに、それを白と黒だけで表現すると、白と黒の間にあるグレーの豊かな階調が本来の色以上に“色”を見せてくれることを知ったからですね。
- 大井
- 白黒の中の色……
- ヒラツカさん
- そうですね。モノクロの階調は潜在意識としてなんとなく「いい」って分かっているんですけど、本当の良さは知らないと分からない部分がありますね。
- 大井
- 写真を撮るときはどのようなことを意識しているんですか?
- ヒラツカさん
- 一番は光ですね、被写体にどのような光が当たっているか。そしてその光りで「被写体が一番活きるのってどこだろう」ということを考えています。モノクロにしようか、カラーにしようかっていうのは、そういわれるとあんまり考えていないですね。
こんなことをいっていいのかわからないですけど、世の中には“人間都合の写真”が多すぎると思っていて。それがあんまり好きじゃない。もっと違うものがあっていいんじゃないかなって思っているんです。
- 大井
- 人間都合の写真というのは?
- ヒラツカさん
- カタログ的な、価値感を固定させるような写真ですね。「これは絶対かっこいいよね」とか「こういうのは綺麗だよね」とか。分かりやすくて、今の、一時的な価値観で撮られたものが多いなと。
僕は自分が生きている現実を捉えて、そこで見ているものとの関わり方を切り取った写真が大好きなんです。そういうのはあんまりないんですよね。
価値感を植えつけるよりも「新たな視点を持たせるような写真」「今まで考えてもみなかったようなことを切り取るような写真」「すぐにはわからなくても、何年何十年か経って、いろんな経験をして、改めて写真を見たときに初めてわかるような写真。」そういうのがいいですね。
そういう意味では、コーヒーと写真からは物の見方を含めて色々なことを学びました。コーヒーで学んだことが写真に活きることがあるし、その逆も。
- 大井
- 相性がいいですよね。
- ヒラツカさん
- コーヒー屋やっている人って、写真やっている人が多いですよね。
- 大井
- そうですね。
- ヒラツカさん
- コーヒー屋だけで写真展をやったら面白そうじゃないですか? 声かけてみよっかな。
- この続きは、2月23日(火)公開予定の「Vol.5 コーヒーができる世直し」で!どうぞお楽しみに!
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