プレミアムコラム

ジェームスさんが考える“夢を叶える秘訣”(Vol.3)

ブルーボトルコーヒーの創業者でありCEOのジェームス・フリーマンさんにお話をお伺いしているプレミアムコラム、Vol.3。クラリネット奏者、そして世界的コーヒー店を経営するCEOという2つの夢を既に叶えているジェームスさんに“夢を叶える秘訣”を伺いました。

クラリネット奏者から転身。自宅のガレージでコーヒーの焙煎をスタート
大井
ジェームスさんは、もともとはクラリネット奏者をされていて、そこからコーヒー店を立ち上げましたよね。その始まりはどのようなものだったのですか?
ジェームスさん
音楽家の時代から自分でコーヒー豆を焙煎して仲間に配ったり、ツアーに持っていって振舞っていました。その時から自分の作ったコーヒーで喜んでもらえることを嬉しく思っていました。本格的にサンフランシスコにある自宅ガレージで焙煎を始めたのは2002年です。
大井
コーヒーを仕事にし始めたときから、世界規模のコーヒーショップを作りたい、という野望はあったのでしょうか?
ジェームスさん
いいえ、いいえ。全く!そんなことはありませんでした。ただ毎週土曜にファーマーズマーケットに出店して、美味しいいコーヒーを淹れたいとやっていただけです。
大井
なぜそれを続けていたんですか?
ジェームスさん
人は時に「明確な未来の目標がないこと=熱中していない」と捉えることがありますが、そうではありません。その時は、「日々美味しいコーヒーを淹れたい、毎日少しでも改善してさらに美味しいコーヒーを淹れたい」と思っていたんです。クラリネット奏者のときも同じでしたが、毎日同じ曲を何万回と練習して、少しでも上達するために日々努力を重ねていました。その努力を音楽からコーヒービジネスに移行しただけです。日々こつこつと努力することはビジネスにおいて大切ですよね。そう分かっていながら、全員ができているわけではないのですが。
街が変わっても、ブルーボトルコーヒーのスタイルはそのままに
大井
急成長をする中で、どのタイミングから「ブルーボトルコーヒーは大きなブランドになるぞ」と思いましたか?
ジェームスさん
私は「ブランド」という言葉が好きではありませんし、社員にも「ブランド」と呼んでほしくはありません。「ブランド」という言葉は、自分達で使うと嘘っぽくなりますよね。外からみて「ブランド」と認識されることはいいのですが、自分達では使いたい言葉ではありません。私達はよいコーヒーと意味のある場所を作っていれば、お客様はそれをみていてくれてくれる。そして結果的にブランドと捉えてくれる、それでいいと思っています。
大井
言い方を変えての質問になるのですが、自分が作るコーヒーが自分の目の前にいるお客様だけでなく、もっと多くの方に受け入れられると感じたから、アメリカで複数の店舗展開をされていったのだと思います。ブルーボトルコーヒーが人々に受け入れられていると感じたのはどのタイミングでしたか?
ジェームスさん
2010年にニューヨーク店をオープンしたときでしょうか。私達がサンフランシスコやオークランドで今までやってきたことを同じようにニューヨークでやってみたときに、本店と同じように店が賑わいお客様が来てくれたんです。ニューヨークでも「自分達のやってきたことが受け入れられた」と分かった時は自信になりました。
大井
店舗を展開するエリアはどのように選ばれているのですか?
ジェームスさん
サンフランシスコは創業の地ですね。ニューヨークは好きな街で、学校に通っていた時期もありよく知っています。ロサンゼルスは西海岸で一番大きな街。食文化やアートカルチャーが面白いですし、サンフランシスコからも飛行機でたった45分の近さです。
東京も好きな街のひとつです。私は日本のコーヒー文化や喫茶店文化に大きな影響を受けてアメリカでコーヒー店を始めたので、それをまた日本で展開するというのは面白いなと思いました。日本にはこだわりをもってコーヒーを飲む人もいる。東京に上陸したということは素晴らしい機会だったと思います。
大井
新しい場所に挑戦することは怖くないですか?
ジェームスさん
そんなに怖くないですね。ステージに出て行って、クラリネットを演奏するようなものです。もちろん、資金をたくさん使って大失敗をしたり、雇った人が辞めてしまったら困りますが、それはビジネスの中では起こりうること。私達は今、とても上手くいっていて、素晴らしい人達をさらに雇うことができています。もちろん、慎重になったりすることもありますが、少しずつ解決して教訓から学ぶことようにしています。
大切なのは、自分の気持ちや直感に耳を傾けること
大井
ビジネスをやっていると、色々なことが起こりますよね。私達もアプリをやっていても色々なことが起こります。困難に出くわした時、どのように乗り越えていらっしゃるのでしょうか?
ジェームスさん
周りの人が色々なことを言ってくるのですが、そういう時は、その声を聞きながらも全てを受け止めすぎないようにしています。他の人の声のボリュームを下げて、自分自身の時間をしっかりとります。本を読んだり、エクササイズをしたり、美術館にいったり……自分の中にある気持ちや直感に耳を傾けるようにしています。それは最も大事なことです。
大井
自分を信じることも大事ですよね。
ジェームスさん
そうです。人の意見を聞き入れすぎずに、自分自身と相談して、確認して、自分の意思で進めることが大事だと思います。
大井
ジェームスさんは、クラリネット奏者、そして世界規模のコーヒー店を経営しているCEOと2つも大きな夢を叶えていますよね。夢を叶えるために必要なことはなんでしょうか?すごく気になるんです!
ジェームスさん
(笑)他人の言うことを聞いてはダメなんですよ。私のアドバイスも含めて聞かないことが一番。それがティップスです。

夢を叶えるために、私が幸運だったのは「いつもやりたいことを見つけられた」ということです。ただ、何をしたいのか分からないという人は多いですよね。私は幸運にも自分のやりたいことが常に見つかっています。そうやって、自分がやりたいことに目を向けることだと思います。それはお金とか家とかそういう物質的なものではなくて、何をしたいのか、誰と過ごしたいのか、それを見つけることが大事です。
小さいきっかけを見逃さず、興味が湧いたことは追求する
大井
では、やりたいことを見つけるのはどうしたらいいのでしょうか?ジェームスさんはどのようにクラリネットとコーヒーに出会ったのですか?
ジェームスさん
クラリネットは家にあったんです。コーヒーはずっと好きでしたが本格的にコーヒーに興味をもったのは、大人になってから。クラリネットの練習をするために遅くまで起きている必要があったのでコーヒーをたくさん飲むようになった、それがきっかけです。

それでいうと好奇心はとても重要ですね。なぜコーヒーの味が違うのか、フレンチプレスとプアオーバーはなぜ味がちがうのか、それを知りたいと思う好奇心がとても大事だと思います。そして好奇心の中から自分にあうものや好きなものを見つけたら、突き詰めていくこと。もしコーヒーに興味を持ったのなら、本をたくさん読むでもいいし、カフェに行くでもいい、コーヒー店のカッピングに行ってみるでもいいですよね。

きっかけは小さくても、何かを見つけたらとにかく深掘っていくこと。本を読んだり、行動することはそんなに時間のかかることじゃないですからね。それに知りたいという気持ちがあれば、その道の90%ぐらいのことは知ることができます。コーヒーもそのひとつです。
カフェは店主の自己表現。細部にまで作り手の人間性が現れる
大井
CafeSnapではインタビューさせていただく全ての方に「あなたにとってのカフェとは?」を聞いています。ジェームスさんにとってのカフェとはどんな存在ですか?
ジェームスさん
私が好きなカフェは、作る人の人間性が強くでているお店ですね。お店に入ったときに、店を作る全ての要素にこだわりを感じられる場所です。日本の喫茶店が好きな理由もそれに当てはまりますね。世界中のカフェをみても、私が好きな店は店主の個性が店の細部にまでとことん現れています。それは市場を調査して「大半の人はこれが好きだからそうしよう」とか、そんな風に作っているわけではないですよね。世界中のカフェは店主達の自己表現です。だから世界の人に、それぞれのカフェを楽しんでもらえたら嬉しいですね。
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ブルーボトルコーヒー新宿カフェ (東京都・新宿)
営業時間:8:00~22:00
住所:東京都新宿区新宿4-1-6 NEWoMan SHINJUKU 1F
http://cafesnap.me/c/2901


次回からは、CafeSnapがメディアパートナーを務めさせていただく「COFFEE COLLECTION around KANDA NISHIKICHO 2016 SPRING」に連動した特別企画! 2016年4月23日(土)、24日(日)のイベントで販売されるコーヒー豆のセット「ROASTERS SELECTION」の舞台裏をお届けします。

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