プレミアムコラム

3人が語る、日本と海外のコーヒー(Vol.2)

GLITCH COFFEE&ROASTERSの鈴木清和さん、FUGLEN COFFEE ROASTERSの小島賢治さん、TRUNK COFFEEの鈴木康夫さんとともに「ROASTERS SELECTION」の魅力をお届けしているプレミアムコラム。ここからは、3人の対談がスタート!まずは「日本と海外のコーヒー」について伺いました。さぁ、広くて深いコーヒーの世界への入り口です!

大井
COFFEE COLLECTIONに参加されているみなさんは、日本だけでなく海外のコーヒー文化を知っていることが共通点にあると思います。まず最初に、日本と海外のコーヒーはどう違うと思いますか?
ヤスオさん
僕が一般的にお客様からヒアリングした中では名古屋という土地柄もあってか「日本のコーヒー=黒くて苦いもの」という声が一番多かったですね。全てがそうではないですけど、一般的な認識としてはそうなのかなと思います。
小島さん
日本のコーヒーって、何が日本のコーヒーなんでしょうね。スターバックスももう日本のコーヒーの一部ですよね。国によって違うと思うのですが、ヨーロッパだけで見ても、例えばイタリア、フランス、オーストリア、東欧は深煎りのところが多い。私がいたノルウェーのオスロも浅煎りだけでなく深煎りの店があります。
大井
日本は深煎りの国、北欧は浅煎りの国というイメージがありましたが、一概にそう言い切れないということでしょうか。
小島さん
そうですね。ただ、コーヒーの楽しみ方は大きく違います。例えば日本ではコーヒーは喫茶店という空間や、一緒に食べるチーズケーキ、マスターとの会話などがコーヒーの周りにあって、そのすべての要素を含めて一杯のコーヒーを楽しみます。一方でヨーロッパなどでは、周りの要素があまり重視されずにコーヒーを飲むので、「一杯のコーヒーが美味しいのか」、それが全てです。ただ、これは築いてきた文化の違いなので、どちらが良いとか悪いとかの話でなく、「そういう違いがある」と考えています。
大井
では、海外のコーヒーから感じた魅力や学んだ事はありますか?
小島さん
同じノルウェーでも色々な店がありますが、私がいいなと思ったのは、“演出”よりも“素材の味”を大事にしていることです。例えば私達がフルーツを食べる時は、季節ごとに旬のフルーツがあって、そのフルーツが持つ甘みや酸味、その両方を楽しむじゃないですか。同じように、色々な個性のあるコーヒーをフルーツみたいに提案しているんですよね。
キヨさん
美味しいと言われるトップロースターをまわると、フルーティーですよね。例えば、エチオピアやケニアのように、農園が作るコーヒーの個性的な味を感じられるところが多いと思います。ポールバセットでも私が最初に教えてもらったのは、農園のテイストをどう表現するかでした。
ヤスオさん
いい素材ありきで、その素材の魅力が最大限に活きる焙煎や抽出方法でコーヒーを作っていて、それを楽しんでいるところに魅力を感じています。

SEED TO CUP(コーヒーの豆からカップまで)という言葉があるように、農園でコーヒーを育てる人、運ぶ人、焙煎する人、コーヒーを提供する人。コーヒーに関わる全ての人間が情熱を注ぎ込んでいて、それを作る人から飲む人にしっかりと伝えているなと思いました。

お客様についても、全員ではないですが「私はこれが好きです、こういう味が好きです」という好みを持っている人が多いですね。バリスタはそれに対して“提案力”と「美味しい」と言っていただけるコーヒーを作る“技術”が必要ですので、日本とはまた違ったやりがいのある環境でした。
大井
みなさんにとって、“美味しいコーヒー”を定義すると、どのように表現されますか?
キヨさん
エチオピアやケニアなどそれぞれの産地の味と、ナチュラルやウォッシュトなどの精製方法による味の違いがしっかり出ていて、産地が出したい味をダイレクトに飲めるコーヒーですね。
ヤスオさん
僕もリンクすると思いますが「素材の味が最大限に活かされていること」が一番だと思います。ただ、美味しいコーヒーの定義は難しいですよね。いま質問しているのは、一杯のカップに対しての美味しさですよね?だとすると、素材がもともと持っている味が最大限に引き出されたコーヒーだと思います。
小島さん
私は後味が長く続くきれいなコーヒー。飲み終わった後、歩いて帰る時も「あーよかったな」と感じるきれいさのあるコーヒーが美味しいコーヒーですね。たまに、飲んでいた時は美味しかったのに、後になって苦くなるコーヒーもあるんで。産地の表現も大事で、作る側としては重視するのですが、飲む側にとって“美味しい”の判断は味になってくると思うので、コーヒーを作る時は飲み物として美味しいことを大事にしています。
大井
3人が作られているスペシャルティコーヒー※は、コーヒー豆のクオリティや個性を判断する際に評価シートを使われていますよね。甘み、酸味、口当たりなどで「特にここを重視している」というご自身なりの個性はありますか?
(※世界で流通しているコーヒーのうちの約5%しかない、品質の高い稀少なコーヒー)
ヤスオさん
うちの場合は名古屋というお土地柄、まだまだ浅煎りのコーヒーは東京ほど浸透していません。「酸っぱいのは嫌だ」というお客様が大半です。酸味を活かすためには甘さが伴ってこないと、酸を美味しく感じられないので“スウィートネス(甘さ)”を重視しています。

それに名古屋は日本一、軟水の土地で、軟水だと酸がきれいに出過ぎてしまうところがあるので、そういった意味でも焙煎と抽出においてスイートネスをしっかりとのせてあげることを意識しています。もちろん全体のバランスが一番なんですが、その中でもスイートネスをしっかり感じられるように作っています。
キヨさん
個性的で分かりやすいフレーバーがあること、風味特性を重視しています。バランスがよく全部がまとまっているものよりかは、香り高くて味に特徴のあるケニアやエチオピアのようなコーヒーが好きです。
小島さん
飲みやすさを重視しているので、先ほど話したようなコーヒーの透明感や後味がきれいなことですね。
大井
4月23日、24日に開催されるCOFFEE COLLECTIONは、「世界最高峰のコーヒーが集う、特別な2日間」とうたっていて、いわゆるトップロースター9店舗が参加するフェスティバルだと捉えています。コーヒーファンに支持されるトップロースターになれたのは、なぜだと思いますか?
この続きは次回、4月19日(火)に公開するVol.3「3人が追求する、美味しいコーヒー」で!お楽しみに!


撮影:名取和久、ライティング:大井彩子(CafeSnap)
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