プレミアムコラム

GLITCH鈴木氏が訪問、グアテマラのコーヒー農園レポート(Vol.4)

「ROASTERS SELECTION」の魅力をお届けしているプレミアムコラム。Vol.4の今回はGLITCH COFFEE&ROASTERSの鈴木さんがROASTERS SELECTION用に選んだグアテマラのコーヒー豆に注目。今年の2月にグアテマラのコーヒー農園を訪れた鈴木さんが見たもの、そして感じたこととは……?

大井
鈴木さんはグアテマラのどちらの農園に行かれたのですか?
鈴木さん
ROASTERS SELECTIONで使用している豆の産地であるサンタクララと、アンティグア、ウエウエテナンゴという地域、そして世界的に評価の高い豆を生産しているエル・インヘルトという農園です。
大井
複数の農園を周られたのはなぜですか?
鈴木さん
グアテマラには機材や設備を整えて品質管理を徹底している現代的な農園と昔ながらの生産方法でコーヒーを作っている農園、様々な所があります。同じグアテマラ内でもそれぞれコーヒー豆のクオリティが違うので、それらが作られる農園もそれぞれ見ておきたかったんです。
大井
コーヒーはどのように収穫されるのでしょうか?
鈴木さん
コーヒー豆はもともとコーヒーの木になるコーヒーチェリーというフルーツの種子です。サクランボより少し小さいサイズの硬いコーヒーチェリーを“ピッカー”と呼ばれる人々が収穫していきます。

グアテマラは発展途上でまだ貧富の差がある国。特に農園で働いている人達は豊かでない人々が多く、ピッカーは男性も女性も、中には子供やお年寄りまでいました。
鈴木さん
味に統一感のある美味しいコーヒーを作るためには、コーヒーチェリーを収穫する段階で、100%完熟している実を採取することが重要なのですが、例えば、これは全て真っ赤な実ですよね。
鈴木さん
これだけ完熟している実だけを集められる農園は、しっかり教育がされていて優秀なピッカーさんがいる証拠です。農園では収穫した重さで給料が払われるので、ピッカーさんの教育がされていないと、熟していない緑色の実を摘んでしまったり、収穫した袋に石を入れる人もいるようです。農園は収穫時期になると、よいピッカーさんを集めたいので、労働環境にも配慮していて、親が働いている間に子供が勉強できるよう学校が併設しているところもありました。
大井
私たちがお店でコーヒー豆を買う時に農園の標高が書かれていることがありますが、コーヒーが作られるのはどんな場所なのでしょうか?
鈴木さん
一般的には標高が高く日夜で温度差があるところで作られています。私たちは視察だったので農園へは車で行くことが多かったですが、ピッカーさんたちは約3~4時間かけて歩いて山を登っています。
鈴木さん
農園にたどり着いてようやく収穫がスタート。コーヒーの木は日当たりのよい斜面で作られていて、その急斜面を歩くのがまた大変なんですよ。さらにコーヒーの木は火山灰や石灰岩の土壌で育てられるので、収穫している間にこんな風に土まみれになってしまうんです。

収穫が終わると今度はコーヒーチェリーを運ぶのが一苦労。この人は3つも袋を運んでいます。この状態でまた急斜面を歩いて帰るというのは、相当なパワーが必要ですよね。
大井
収穫したコーヒーチェリーはその後どうなるのでしょうか?
鈴木さん
収穫後のコーヒーチェリーは果肉付きで乾燥させる「ナチュラル」、果肉まで除去して乾燥させる「ウォッシュト」、皮だけ取り除き果肉を残す「ハニー」など様々な方法で精製されます。

ROASTERS SELECTIONで選んだサンタクララの豆はナチュラルなのですが、一般的にナチュラルは大地に豆を広げて天日干しで乾燥させることが多いです。ただ、それをすると地面に面している実の部分に熱がこもってしまってダメージを受けやすくなるので、サンタクララではこの写真のようにテント付きのアフリカンベッドという乾燥台を使って、豆の上下の風通しを良くし、温度も湿度も徹底管理した環境で乾燥させていました。ナチュラル製法でそこまでやる農園は稀で、その丁寧な精製方法がしっかり味にも現れていますね。
鈴木さん
ちなみに、「ウォッシュト」は、コーヒーチェリーを発酵させることで豆の周りの果肉を取り除きます。訪れた農園では果肉を取り除く発酵槽や使われている水がきれいなのかを確認しました。管理がきちんとされていないところでは発酵槽の汚れが目立ったり、発酵臭もきついそうです。発酵が終わると次に待っているのが比重選別です。水の流れの中で、浮いている豆は取り除き、沈む豆がスペシャルティコーヒーになります。
大井
今回、農園に行かれてどんなことに驚きましたか?
鈴木さん
分かっているつもりでしたが、コーヒーができるまでに「こんなにたくさんの人の手がかかっているんだ」ということに驚きました。ピッカーさんは農園まで長い距離を歩いて、急斜面で手を真っ黒にしながら手間をかけてコーヒーチェリーを収穫します。さらにそれを運び、精製処理する……その生豆が海を渡って日本に届くわけですから、本当にたくさんの人の努力が積み重なってコーヒーが手元にあるのだなということを感じました。
大井
グアテマラに行かれてみて、バリスタであり焙煎士でもある鈴木さんはどのようなことを感じましたか?
鈴木さん
スペシャルティコーヒーはまだまだ発展途上ということです。というのも「上質なコーヒー豆を作れば、高く買ってもらえる」ということをオーナーや農園の人々が認識し始めたのがつい5年ぐらい前からなんですね。

農園はオーナーの性格が顕著に表れて、苗木を規則正しく一定の距離で植えているところもあれば、バラバラなところもありますし、ピッカーさんの教育に熱をいれているところもあれば、そうでないところも。オーナーによって農園のクオリティは様々です。

ただ総じて、いい農園の木はイキイキしているんですよね。それにオーナーさんの目が全然違うんですよ。美味しいコーヒーを作ろうと様々なチャレンジをしていますし、すごく楽しそうでワクワクしていることが伝わってきました。
鈴木さん
今回グアテマラに行ってみて、農園のオーナーやピッカーさん、豆の精製処理をする人、運ぶ人……コーヒーに関わった全ての人の努力が飲む人に届くように、その「農園で作られた豆の個性を引き出した‟価値ある一杯のコーヒー”を作りたい」と強く思いました。

さらに、素晴らしい農園のコーヒーをお客様に届けて、たくさんの人に「美味しい」と思ってもらえれば、私たちは農園からより多くの豆を買うことができますし、それは未だ貧しい農園の人々の生活に少なからず貢献できると思います。だから私はこれからも‟美味しいコーヒー″を一杯一杯真剣に作ることでお客様に喜んでもらいたいですし、それによって農園の人も幸せにできたらと考えています。
大井
貴重なお話ありがとうございました。
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