日本の未来を担う子供達へ鳩時計ができること(Vol.2)
神保町にあるシュヴァルツヴァルトカフェの芹澤さんにお話をお伺いしているプレミアムコラム。Vol.2は芹澤さんの鳩時計への想いと、鳩時計を通して伝えたい事をお伺いしました。意外な豆知識と一緒にご紹介します!
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- 鳩時計は実は鳩じゃない!?
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- 大井
- お店の中にいるといつもどこかで鳩時計が鳴いていますね。
- 芹澤さん
- 時間の設定を少しずつ変えているので、どれかしらが鳴いていますね。(笑)私は家にも鳩時計を置いているので、人生の中で鳩時計が鳴ってない時はもう何年もないんです。
- 大井
- 鳩時計はどうして“鳩”なんですか。鳥は他にもいるじゃないですか。
- 芹澤さん
- 実はあれ、本当は“鳩”じゃないんですよ。なんだと思いますか?
- 大井
- え! 鳥は鳥ですか? にわとり?
- 芹澤さん
- にわとり……違いますね。あの鳴き声あるじゃないですか、「ファッフォー、ファッフォー」っていう。
- 大井
- カッコーですか?
- 芹澤さん
- その通りです。“クックークロック(カッコー時計)”というのが正式名称で、“鳩時計”と呼んでいるのは実は日本だけです。
- 大井
- そうなんですね!
- 芹澤さん
- ちなみにさっき、“にわとり”と言ったじゃないですか。実は最初に開発した人は、にわとりの声を作りたかったそうです。だけど、にわとりは鳴き方が複雑で、当時、音を鳴らす手段として用いていた笛の音では表現できなかったんです。何年も試行錯誤した結果、カッコーの鳴き声を聴いて、「これだ!」と気づいたんですって。高い音と低い音、2つの笛を使った仕組みで「カッコーカッコー」という近い音が作れるでしょ。これ、みなさん知らない豆知識かもしれませんね。(笑)
- 芹澤さん
- ドイツのシュヴァルツヴァルト地方はとても冬が長いんですけど、6月くらいになるとカッコーが森にやってくるんです。だからカッコーは暖かい季節が始まる知らせにもなっていて、ドイツではラッキーサインみたいに捉えられているようです。ちなみに、カッコーが森の中で鳴いたら小銭入れをジャラジャラ鳴らすと金運が上がるっていう言い伝えもあるくらい、縁起がいい鳥なんですよね。
でも面白いもので、ドイツと日本は真逆なんです。カッコーは和名では閑古鳥と呼ばれていて「閑古鳥が鳴いている」はお客さんが来ない、繁盛していないという意味になるので、戦後に日本で生産された時は何か別の鳥にしようと。そんな中、戦後の日本を象徴する平和の鳥として“鳩時計、ポッポ時計”という名前が選ばれたという説もあるんです。
- 大井
- なるほど、そうなんですね。面白いですね。
- 楽しい鳩時計で子供達に笑顔と自由な発想力を
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- 大井
- 芹澤さんご自身は鳩時計のどんなところに惹かれたのでしょうか?
- 芹澤さん
- 鳩時計を初めて見たとき、この時計から受けたイメージがすごく楽しいものだったんですよね。ユニークで、見ていると思わず笑顔になってしまうような面白さを感じたんです。
私が鳩時計を日本で販売しようと思った時に、最初に掲げたキーワードは「日本中の子供たちに鳩時計を……」だったんですが、なぜそんな風な言葉を考えたかというと、ここ最近も特に感じるのですが、“子供を早く大人にしよう”という流れがあると感じていて。それはもちろん悪い事ばかりじゃないのですが、子供の頃の時間が本当に短いから、もっと子供らしく過ごせる時間があった方がいいんじゃないかと考えていたことがきっかけだったんです。
家庭の中に楽しい鳩時計があって、それを見ながら幼少期に家族の時間を過ごしてもらう事で、彼らが成長した時にただ社会的に賢い人になるのではなく、その中に遊び心や好奇心を兼ね備えていてほしいんです。そうすれば、彼らがリーダーになる頃にはきっと日本は今よりもっと楽しい国になるんじゃないかなと思ったんです。
社会貢献というほど大きなことはできないかもしれませんけど、いま自分ができる活動の中で、鳩時計に出会ってくれた子供たちやご家族にとって楽しくて過ごしやすい社会にできたらと常に考えています。
- 芹澤さん
- そういえば先日、子供病院に大きな“からくり時計”を製作したんですよ。実はこれは大きな鳩時計になっていて、時間になると色々なところが動きだすんです。
病院は本当だったら行きたくない所でしょうけど、具合が悪くてどうしても来なくてはいけない子供達もいるので、その子達にとって少しでも安らぎを与えてくれる存在にこのからくり時計がなったらいいなと思いながら作っていました。
設置後には、それを見た方がTwitterで「病院は普通、こういうところまで気がまわらないのに、この子供病院は本当に素晴らしい。」って書いてくれていて。からくり時計を子供達に見てもらうことで夢を描いてくれたらと願っていますし、私自身にとってもひとつ夢が叶ったと感じる時計になりました。
- この続きは、 5月6日(金)公開予定のVol.3「時を刻む時計が教えてくれたこと」で!どうぞお楽しみに!
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