プレミアムコラム

“最小限”で作る最高のチョコレート(Vol.1)

CafeSnap発案者の大井がお話しをお伺いしているプレミアムコラム。第13回目は、シングルオリジンのカカオ豆を使ってチョコレートを作るチョコレートの専門店「Minimal –Bean to Bar Chocolate-」の代表 山下貴嗣さんと田淵康佑さんの登場です。

Bean to Barというチョコレートの新たな価値観とその楽しみ方、そして原料となるカカオとコーヒー豆の共通点や意外な違いなどもお伺いしてきました!

(左)山下貴嗣さん、(右)田淵康佑さん
(左)山下貴嗣さん:Minimalを展開する株式会社βace代表取締役。大学卒業後、日系の経営コンサルティングファームに就職しキャリアを積む。その後、Minimalを立ち上げ、チョコレートをカカオ豆から作るBean to Bar文化を日本で発信する第一人者として注目を集めている。

(右)田淵康佑さん:株式会社βace取締役。ITベンチャーやベトナムでの開発会社創業、沖縄のIT産業振興事業などに取り組んだ後、山下氏とともにMinimalを立ち上げる。
Minimalのチョコレートは“足し算”ではなく“引き算”
大井
本日はよろしくお願いいたします。まずは、Minimalさんについて教えていただけますか。
山下さん
Minimalは、小さなカフェスペースを併設するBean to Bar チョコレートの専門店で、店名の“Minimal”は“最小限”という意味です。

一般的に販売されているチョコレートはカカオにミルクやバター、バニラなどの香料を混ぜる“足し算”で作られていますが、僕たちのチョコレートは“引き算”。余計なものをそぎ落とし、品質の良さにこだわったカカオと砂糖だけで作っています。

チョコレートを作るためのカカオはシングルオリジンコーヒーと一緒で、産地によって味や香りが違います。なので、カカオ豆の個性をしっかりと引き出して、素材の良さがダイレクトに伝わるチョコレートを作っています。
農園ごとに違う、カカオ豆の味
大井
コーヒーと一緒で、カカオそのものに味の個性があるというのは面白いですね。シングルオリジンコーヒーはナッツやベリーなど味のイメージがわくのですが、チョコレートの個性はどのようなものなのでしょうか?
田淵さん
Minimalのチョコレートは味の傾向を、NUTTY(ナッティ)、FRUITY(フルーティ)、SAVORY(セイバリー)の3つに分けています。カカオはコーヒーほどフレーバーがしっかりと定義されきっていないので、「僕たちはこう考えています」という指標になるのですが、NUTTYはナッツのような甘さとコクのある味わいで、ローストで香ばしさをつけたりします。FRUITYは酸味や渋みがあって果物のような印象があるもので、果実感を残したり、焦げ感を付けないためローストを抑えることが多いです。SAVORYはカカオ豆の品種に由来するその他の個性的な風味を活かした味わい。比較的多いのはハーブやスパイス、フローラルなどでローストは特徴によって大きく異なります。
大井
コーヒーは南米、アフリカ、アジアと大陸ごとに大きく味の傾向がありますよね。カカオはどうですか?
山下さん
カカオはコーヒーと違い、国や大陸というよりは、農家単位で味が全く異なります。未知数の部分が面白くて、僕らもよく「死ぬまでに世界中のカカオを食べ尽くせるかな?」って話をしているぐらい(笑)。世界中からカカオを取り寄せて色々食べてみたいと思っています。
大事なのはカカオ豆の味を最大限に引き出すこと
大井
Minimalさんのチョコレートがどのようにできているのかをお伺いしたいのですが。
山下さん
カカオは元をたどると農作物で果物。このようにカラフルな色をしているんです。産地では、農業をして、収穫して、果実からカカオ豆を取り出し、発酵させてから乾燥させます。麻袋に入れて輸送された豆が日本に届いたらこちらで焙煎をし、表面についている薄い皮を取り除きます。

そこからグラインダーという機械にかけて細かく砕いていきます。カカオ豆の半分くらいはカカオバターといわれる油分でできているので、摩擦の熱で勝手にペーストになっていくんです。そこに砂糖を加えて、生地の“粒度”というなめらかさを調節したら、最後にチョコレートの生地の温度調整をして、型に流し込みます。
大井
Minimalのチョコレートを先日食べた時、ザクザクとしたカカオ豆の粒を感じました。
田淵さん
僕たちがチョコレートを作る上で大事にしているのは、“カカオがもつ素材そのものの味を一番強く出すこと”です。と同時に、もちろん美味しくないといけないので、特徴が強くでるところと美味しいところが重なるポイントを探して作っています。

一般的なチョコレートは口に入れたときに、なめらかですよね。もし僕たちがなめらかなものを作るとすると、石臼みたいなものを使って24時間〜48時間ぐらいすりつぶさないといけなくて、温度も50度を超えます。そうするとその間に酸化が起こりますし、生地が空気に触れ続けるため、味や香りが変わってしまいます。

変わることで生まれる美味しさもありますが僕らは、素材のもつ味や香りを一番大事にしたいと考えていて、今は調理時間を短くし、カカオ豆になるべくダメージを与えないようにする方がより個性が際立つと考えています。その結果、チョコレートにカカオの粒子が粗く残り、直接カカオを噛んで頂くことでフレーバーを強く感じられるように仕上がっています。
大井
Minimalはブランド名に- Bean to Bar Chocolate -という言葉も入っていますね。“Bean to Bar”はどう意味ですか?
この続きは、Vol.2「Bean to Barチョコレートの魅力」で!Bean to Bar の意味や、山下さんと田淵さんに聞いた美味しいカカオを豆の見極め方をご紹介しています。次回は、5月24日(火)公開予定です。どうぞお楽しみに!
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Minimal -Bean to Bar Chocolate-(東京都・代々木公園)
営業時間:11:30~19:00
住所:東京都渋谷区富ヶ谷2-1-9アーバンテラス21 1F

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