板チョコレートのデザインに込めた想い(Vol.3)
Bean to Bar チョコレートの専門店“Minimal”の山下さんと田淵さんにお話をお伺いしているプレミアムコラム。Vol.3は「板チョコレートのデザインに込めた想い」。大小、様々な大きさで食べられるようになっているMinimalのチョコレートの秘密に迫ります!またコーヒーとのペアリング術も伝授!
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- デザインに忍び込ませたのは“発想”の仕掛け
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- 大井
- Minimalさんのチョコレートは開けてみたときに大小、太い細いなど様々なブロックがあって、すごくいいなと思ったんですが、どうしてあのようなデザインになったのですか?
- 山下さん
- 僕はMinimalを始める前に2ヶ月くらいアメリカやヨーロッパをフラフラして、色々なBean to Barやショコラティエのチョコレートを食べたんですね。そのとき、気づいたことが2つあって、1つは「薄さによって香りの感じ方が全然違う」という事。ヨーロッパのチョコレートは厚さが1センチぐらいあるのですが、日本はかなり薄い。僕らみたいなシングルオリジンで、チョコレートを作る場合は、薄いほうが味や香りの特徴を感じやすいだろうなと思いました。
もう1つは、ライフスタイルにチョコレートをもっと提案していきたいというビジョンに関係しています。ライフスタイルの中で、チョコレートを食べるシーンをもっと広げていきたいなと思っているんです。
「チョコレートを食べたいんだけどそんなに量を食べたくないよね」という時もあれば、「今回はガッツリいきたいな」という時もある、「美味しいから友達とシェアして食べたい」となる時もあって、そのシーンは様々ですよね。
そういったシーンに合わせて自分が好きなようにチョコレートをアレンジして食べられるようにできたらいいなと考えていました。シーンや気分によって食べ方を変えられる、自分で自由に遊べるデザインだったら、世の中に新しい消費やコミュニケーションのスタイルを提案できるんじゃないかなと思っていたんです。
- 大井
- なるほど、面白いアイデアですね。
- 田淵さん
- デザインについては、僕らは日本のブランドなのでパーツに「日本らしさを入れられないかな」と考えていて、お寺や神社の設計図を見たりもしました。石段があって、砂があって、瓦があって……日本の建築美みたいなものを落とし込めたら結構いい形になるんじゃないかと思ってやってみたりもしました。
- 山下さん
- くだらないこともすごく議論しましたね(笑)。板チョコのデザインのように、ブランドの中に発想のきっかけになるものをたくさん入れておけば、そこから色々な人が自分のクリエイティビティを発揮して、さらに面白いことをやってくれる。そうすると、新しい消費のスタイルや文化が生まれていきますよね。僕たちはお客様と一緒に文化を作っていきたいので、みなさんの生活が豊かになる“仕掛け”はブランドの中にたくさんしのばしておきたいと考えています。
- チョコレートとコーヒーのペアリング術
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- 大井
- チョコレートとコーヒーを一緒に楽しむ方も多いと思うのですが、おすすめの楽しみ方はありますか。
- 山下さん
- 一緒にペアリングしてもらうのが一番いいと思います。一概には言えないんですけど、コーヒーの持っている味とチョコレートの味がペアリングされると、お互いのフレーバーがふわっと伸びたり開いたりするので相性がいいですね。これからの時期は暑くなるので難しいかもしれませんが、温かい飲み物とチョコレートは口の中で溶けあうので相性がよくて! ホットコーヒーとチョコレートをあわせてもらうと、すごく豊かな体験ができると思います。
- 大井
- 特におすすめの食べ方や、おすすめのペアリングはありますか?
- 山下さん
- 一般的に深煎りのものやブラジルなどの豆は、うちでいうNUTTYが合いやすいですし、エチオピアやケニアなどの酸味があるコーヒーは、FRUITYのチョコレートと合わせていただくのがおすすめです。同じ方向性で合わせるというのがベーシックで合う可能性が高いと思います。
あと、SAVORYというカテゴリに入るチョコレートがあって、スパイス、シナモン、ハニーなど香りが複雑に混ざり合っているので、そういうチョコレートは実はいろんなコーヒーと合わせてもらうと、それぞれ違う香りや味を感じられて面白いと思います。
- 大井
- そういったマリアージュの提案をしていただける場所として、この富ヶ谷の本店のほうではカフェスペースを設けているのでしょうか?
- 山下さん
- そうですね。もともとカフェは人が集まって情報交換したり議論したりする場所ですよね。僕らもチョコレートを通してコミュニケーションが生まれる場にしたいと思っています。「チョコレートは好きだけど、そんなに詳しいことまでは知らない。だけど、このカウンターに座って、マニアックな店員さんと話をしていたら、すごくカカオの世界が広がった」みたいな、コミュニケーションがちゃんとできる場を作りたいと思っています。
そういう「コミュニティスペースになったらいいな」という想いもあって、4月には実験的に“モーニングwith チョコレート”というイベントをやってみたんです。元バリスタのスタッフがコーヒーをドリップして「コーヒーとチョコレートを楽しみましょう」という会です。休日の朝だったのですが、1時間ほどで30~40人くらいの人が来てくださって。その時は店員もみんな参加して、色々なことをしゃべりながら、僕らも一緒に楽しめたので、今後も定期的に開催していきたいと考えています。
- この続きは、Vol.4の「“日本人らしさ”を活かしたブランドを目指して」で!次回は、 5月31日(金)公開予定です。どうぞお楽しみに!
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